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2006年05月31日

今宮の奇石

 北区紫野今宮町の「今宮神社」にやってきました。長老の金井さんが、ここには古くから伝わる不思議な石があると言う事で、今回の撮影会の目標の一つに挙げて居られたようです。神社は立派で広大な庭では沢山の参拝客が神社の神殿などを見物していました。近くの小学校でしょうか、小学生たちが、そこここで神社の風物を盛んにスケッチしています。若い女の先生は生徒たちそこのけで、カメラをもって珍しい神殿や門の模様を撮影しています。
 その立派な門の近くに、問題の不思議な石が座布団の上に丁寧に置いてありました。やや黒ずんででこぼこがあり、燃えたような痕跡が残っている石を見たとき一瞬「隕石か!」と思いました。手に持って見ると、その重さにまたびっくりしました。長径は20cmくらいの石ですが、片手では持てないくらいずっしりとして重いのです。明らかに中は鉄分です。沢山の人が撫でる関係でしょう、表面には色艶があります。
 神社が作った建て看板の説明によると「この阿呆賢(あほかし)さんは古くから神占石とも云われ、病弱な者はこの石に心を込めて病気平癒を祈り、軽く手のひらで石を撫で身体の悪きところを摩れば健康の回復を早める、、、、、、」とあります。昔、高知県の土佐山田町で隕石を祭壇に飾って拝んでいたという言い伝えがありますが、この石も”天降石”即ち天からさずかった石ということで、このような慣わしが起ったものでしょうか。
 クローズアップ写真を撮ろうかと思いましたが、35ミリカメラは伏見の酒蔵の白壁を撮った関係でモノクロしかなく、ポケットからミノックスA型のカメラを取り出して20cmの距離で接写しました。15mmF3.5のコンプランレンズは、見事に期待に応えてくれました。


今宮の奇石(古くから神占石とも呼ばれている)


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ミノックスA型にて撮影

2006年05月30日

京都に来ました(2日目)

 京都にやって来た二日目、地元のミノックス愛好家の人たちの案内で京の名所を見物して回りました。やはり鴨川のほとりの明治維新の頃の旧跡がいいですね。伏見では酒の製造元の酒蔵の白壁が印象的で、そのすぐ近くの旅籠、「寺田屋」に立ち寄りました。かって坂本竜馬が幕府の役人に襲われた場所で、竜馬はお竜の機転で難を逃れたと言われています。先の「池田屋」もそして「近江屋」も全く跡形も無いのと違って、ここ寺田屋はほぼ昔のままに保存されているようです。柱の刀傷の痕が激動の幕末を偲ばせます。
 今回のミニ撮影会の中心となった人は91歳でなおお元気な「日本ミノックスクラブ」の元会長の金井 浩さんです。戦前の「ミゼット」や「グッチー」から始まってあらゆるミニチュアカメラを愛し、そして自らも写真家として撮影に従事してこられました。特にミノックスを使った撮影術はいつも驚嘆に値する立派な作品を発表されました。私もミニチュアカメラの愛好者ですが、中でも「グッチー」で撮った戦時中の防空壕の写真は、たった一枚の当時をしのぶ珍しく貴重な写真となっています。
 この金井さんが「次は北区の今宮町に行ってみませんか、そこの神社には関さんもきっと驚く珍しいものを置いてあります」と言う。
 (珍しいものとは、一体なんだろう? それは星と関係のありそうなものらしい、、、)
そう思いながら何かに期待して行ってみることにしました。

伏見の旅籠寺田屋

2006年05月29日

京都に来ました

 訳あって京都に来ました。
京都駅の南口から二条大橋までの4キロ余りの道のりを歩きました。乗り物を探して乗るのも面倒と鴨川にそってテクテクと都大路を北上しました。お陰でいろんな名所旧跡を見物できました。
 鴨川に沿った河原町の一角に新撰組が襲撃した「池田屋」の跡を示す石碑がひっそりと建っていました。ぱちんこ屋のある繁華街の一角でぱちんこ球のはじける音に130年も前の剣激の音を連想しました。じっと正眼に構えた勇の虎徹の光。それを取り巻く志士たちの無数の剣。勇の物凄い掛け声と共に舞台は展開して行きます。
 勤皇の志士たちの隠れ家のあった高瀬川付近には今も昔の風情がそのまま残っているように思いました。池田屋と竜馬が遭難した近江屋は僅かな距離ですね。大昔見た土蔵の近江屋の面影は全くなく、そこや繁華な街の歩道の片隅でした。町並みが全く変わったのです。昔はもっと鴨川に近い場所であったように思いました。
 二条大橋近くの「ホテルフジタ」で全国から集まった10名のミニチュアカメラ愛好家の方々と会いました。そうですミノックスです。明日30日はミニ撮影会が催され、いろいろ名所旧跡を訪ねたいと思っています。天文学的な何か発見があるかもしれません。
 ミノックスは1930年代に北欧地中海(バルト海)に面した小国ラトビアのリガで生まれた名機です。撮影画面が僅か8x11ミリと小さく、しかも精密で、一体誰が何の目的で作ったかはナゾです。1950年の値段が日本円で5万円と言いましたから、いかに高級カメラだったかが伺われます。1940年ごろの日本映画に「第五列の恐怖」というスパイ映画があり、その場面でポケットからミノックスを出し横浜の軍港を撮影すれシーンがありましたが、もしかするとスパイ目的に開発されたかも知れませんね。誰が見てもライターとしか見えませんでした。1986年、私はこれでかのハレー彗星を撮影し、ミノックスカメラの展覧会に出品しました。「ミノックス」という小惑星があることは、ご存知のとおりです。

竜馬と中岡遭難の河原町近江屋の跡

2006年05月21日

73P彗星のアンチテール

 まるで梅雨のような雨天が続きました。天気図は梅雨前線が横たわって完全な梅雨型ですが、平年より20日も早いので入梅とはいかないでしょう。
 5月20日は午後から久し振りの晴天となり、天文台に向かいました。22時ごろから60cm反射望遠鏡による掃天を始め、下弦の月が昇る21日の午前2時過ぎまで頑張りました。
 興味はその後のシュワスマン・ワハマン3彗星ですが、固有運動が速くなってアッと言う間に東に低くなりました。南下が早いですね。春独得のもやの中に明月があって20cm屈折望遠鏡といえども非常に見にくい観測となりました。
 C核は8.1等星で芯がしっかりしています。珍しく60cmの写真ではP.A.50度に短い、そして鋭いアンチテールが出ています。無論本来の尾はあります。そしてB核はと見れば8.5等級の暗さで何だか芯の無い残骸のような姿。然し尾は見えます。僅かの間に暗くなったものですね。
 以上の観測は21日の2時30分です。もう少し月が小さくなればもっと良い写真が撮れるかもしれません。

シュワスマン・ワハマン3彗星のC核
73P-C/Schwassmann-Wachmann 3
2006年5月21日 2時51分から1分間露出
60cm F3.5反射望遠鏡 TMY 400フィルム
右方向に本来の尾、左方向にアンチテール

2006年05月11日

月下の彗星花と咲く

 5月10日の夜遅く天文台にやってきました。途中珍しく警察の大規模な検問にかかりました。15年間無事故、無違反の免許証を見せました。「何処へ行かれるのですか?」と言う質問に対して「天文台です」と答えると素性がわかって事は面倒と、ただ「芸西村へ」とこたえて通り抜けました。
 天文台の丘からの太平洋の眺めは、満月に近い月光を浴びて、美しいと言うより壮絶な景観でした。幻想的な青です。その月下の神秘的な光の中に異常増光したシュワスマン・ワハマン3彗星のB核が異様に大きく明るく輝いていました。
 写真は3分間ガイドしたイメージで、地球にいま一番接近して固有運動が早くなっている様子がわかります。核は鋭くコマは扇形に拡がって、極く最近彗星に異常な爆発が起ったような奇観です。このときC核はとテレスコを操って見ると、メインのC核はB核に比べて全くちっぽけで問題になりません。明らかにコマの大きさはB核の5分の3以下。光度も1.5等は暗いようです。明月の中ですからこれが本当で、B核の方が異常なのです。天文台の川添講師は自宅で肉眼で観ました。私は7x50の双眼鏡で楽々と眺めました。若し月が無くなったら恐らく尾も肉眼でありありと見られるでしょう。ズバリ全光度は4.5等!コマ中心部は5等級ですが、全体を集めると結構明るく、4等級でないと肉眼では見えません。双眼鏡では恒星と比較して結構明るい結果を得ます。
 時々発生するむら雲になやまされ、早々と引き揚げました。
 なお眼視観測の時刻は5月11日午前1時30分です。
 今日予定されていた芸西での特別観測会は雨模様のため中止になりました。

シュワスマン・ワハマン3彗星のB核
73P-B/Schwassmann-Wachmann 3
2006年5月11日 1時21分から3分間露出
60cm F3.5反射望遠鏡 TX 400フィルム

2006年05月02日

大火球を見ました!

 今までの黄砂を一変に吹き飛ばすような見事な快晴に恵まれました。これこそ本当の初夏の空の蒼さです。すこし遅く出発して芸西付近には22時半ごろ到着しました。
 問題のシュワスマン・ワハマン3彗星はそろそろ天心に近くなる時刻です。
 いつもは山の入り口のコンビニに寄るのですが、今日は素通りして天文台への北向きの山道を登り始めた時、西北の低空に閃光が走りました。半月前の月が落ちかかっていましたが、突然現れた光ものに、月が二つ輝いたかと思いました。22時26分頃でした。緑色の綺麗な火の球がゆっくりと落下して4~5秒で消えました。明るさはマイナス5等級でした。位置は双子座の遥か北で西北天です。恐らく愛媛県や本州の広島県あたりでは、目撃者が多いことと思います。
 今夜の天の川も見事でした。バックが墨のように暗く、その光芒が克明に立体感をもって浮かびました。もう夏ですね。
 一連の60cmによる彗星の位置観測を終え、夜明け前の30分を久々に捜索しました。5時間ほどでしたが、充実した観測でした。明け空に低く金星が明るいですね。

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夏の天の川
35mm F2.8 ISO 800 フィルム 20分露出