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● 4月29日 2つの彗星が夕空に見られる日が近くなりました。 今日は彗星発見のことを書いた、私の珍しい3冊の本を紹介します。ただし今は販売されていません。 写真右から岩波書店の『新しい天体をみつけよう』、ちくま書房『星空の狩人』、あかね書房の『星のかりゅうど』です。いずれもノンフィクションですが、「星のかりゅうど」だけは少しフィクションを加えたもので、冒頭、四国の足摺岬にある謎の洞窟を探検した人が穴の奥の砂浜で発見した古い1枚の海図に描かれたクロイツ属彗星の記録が、それから100年後の「イケヤ・セキ彗星」の発見を導いていくと言う発想で、私自身最も気に入っている作品です。また中学生向きの「星空の狩人」はその一部が今も愛知県の教科書に引用されています。 足摺岬の灯台の下の洞穴は非常に深く海水が流れ込んで多くの漂流物が堆積していると考えられます。そして、17〜18世紀の海賊たちの宝の隠し場所とも推理されてきました。穴の奥には人の知らない恐ろしい、そして幽玄な世界があったのです。 いつかこの話を「新・ノンフィクション劇場(仮称)」で書きましょう。 |
関勉著の珍しい3冊の書籍 足摺岬の洞穴 |
● 4月28日 芸西では東に森があって10°以下の低空は見えません。午前4時30分までがんばりましたが、森の向こうの東天は薄白くなってリニア彗星(C/2002 T7)は見えてきません。 今から30年余り前のウエスト彗星の時は、1970年3月上旬同じ森の中を昇ってきましたが、その時は森全体が巨大な彗星の炎に包まれて、まるで夜明けかと勘違いするほど凄い光景でした。今回のリニア彗星は大ウエスト彗星とはくらべようもない小彗星ですね。 彗星は見えませんでしたが、南天には天の川があって、観測に疲れた心にしみじみと安らぎを与えてくれました。 芸西には今もこんな凄い天の川が残っていました! |
夏の天の川 4月27日 午前4時 ズイコー 24mm F2.8 5分露出 ISO 1600フィルム |
● 4月23日 天気を見に3階の屋上に上がったら、西空に低く月と金星が並んで沈んでいくところでした。大変美しい光景だったので、月の北側に光っている美しい金星について一般の人から何件かの問い合わせがありました。中には高知地方気象台に問い合わせたが誰も星の正体については知らぬとか。空を常に見ている商売だったら宵の明星くらい知っていて欲しいと思うのですが....。 昔、気象台の人は夜の星の様子を掴むために星座を憶えていました。特に戦地などで明日の天候を読む予報士は夜空が真っ暗だったので星座を勉強する必要があったのです。つまり星座が完全に見えているかどうかで雲の動静を知ろうとしました。この習慣は戦後しばらく続いたようで、1961年ウィルソン・ハーバード彗星が突然夜明け前の東天に輝いた時、銚子地方気象台の林さんは日本で最初に発見。日本天文学会から表彰されました。林さんは毎日夜明け前の雲の様子を観察していたのです。 |
月と金星 4月23日 21時30分 ニッコール85mm F2.8 5秒露出 ISO 400 フィルム |
● 4月13日 天候があまり良くなかったのですが、明日から雨天になるというので天文台にやってきました。雲が多いながらも、獅子座のレグルスの近くのSL-569(芸西での小惑星発見第1569番目)の予報位置を2枚撮影しました。これは2月に発見した星で、1夜の2枚しかない観測から栃木県の鈴木雅之さんが予報を計算してくださったもので、再発見の可能性は少ないのですがとにかく努力だけはしたかったのです。 観測を始めて1時間くらい経った頃、直径30′くらいの白い光芒が東南に少しずつ移動していくのを目撃しました。当夜の雲の方向(東北)とは全く別でその後を飛行機の光が追うように追いかけて行きました。20年ほど昔のIRAS-荒貴-オルコック彗星のことを思い出し、もしかすると地球に異常接近した彗星かもしれないと思ったりしました。21時半に雲が増し、帰途に着きました。 |
Copyright (C) 2004 Tsutomu Seki. (関勉)