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2003年3月の日記

● 3月25日
 夕暮れの天文台です。いつも芸西の桜は早く咲くのですがまだ4分咲きで、桜の枝の中を落ちる夕日が印象的でした。桜の下は赤いぼんぼりが長い列となり、おまけに下の野球場のナイターの灯が強烈に照らし、黄砂のかかった空は満月の夜のごとく明るく輝いていました。
 C/2002 Y1、C/2002 X5、C/2003 E1などを狙いましたが、灯が21時半頃まで消えず収穫のない観測でした。23時には園芸の灯が一面に照り始めますので、暗い夜空はわずかに1時間あまりでした。

 明日27日は天文台の岡村さんと研修のため那賀川町(徳島県)の天文台におもむき、帰路は南の海岸道路を通って、国民宿舎『みとこ荘』に一泊します。みとこ荘にも天文台があることは周知のとおりです。昔ここに泊まったとき、海を見下ろす絶景の地の星空はどんなものだろうと度々考えたものです。3月の太平洋の海原は美しいですね。

芸西天文台からの夕暮れ

● 3月20日
 高知城のある高知公園や花で有名な五台山(ごだいさん)には、もう桜が勢いよく咲き始めています。あと1週間ほどで満開となるでしょうか。
芸西の桜は早く咲き、天文台の下の駐車場では村役場がボンボリを無数に吊るして花見客の応対の準備をしています。
日中は少し動くと汗ばむほどの陽気で、もう夏が近い気分です。

五台山の山桜
● 3月18日
 満月の夜です。家のすぐ南を流れる鏡川に出てみると、東の筆山(ひつざん)のふもとから大きい月が昇ってきました。子供の頃、よく東の町の空に たらいのような大きい月を見てビックリしたことがありますが、錯覚とは言え町の空に低く輝く月は異様に大きいと考えます。川面にはまだたくさんの鴨たちが月に照らされ、まるで影絵のように浮かんでいました。まもなくシベリアに旅立つでしょう。 

鏡川の満月
● 3月17日
 高知市の南に位置する小石木山の墓地に詣でました。このあたりは山間の桜が毎年早く咲くのですが、果たして3月17日にはすでに5分咲きの桜を発見しました。大きい桜の木の向こうには、はるかに貝ヶ森が見えています。鷲尾連山の一角で、今から遠く1962年4月1日、太陽に0.03天文単位に接近した C/1962 C1(Seki-Lines)=関・ラインズ彗星観測の舞台となった山です。この彗星の標準等級は6.7等。太陽に0.03AUまで迫りながらも、近日点通過後は肉眼彗星として夕空に輝きました。あの頃は、発見した彗星は自分で計算するというなつかしい時代でした。アメリカではカニンガム氏が有名でしたが、マースデン氏の名はまだ出ていなかったようです。
[貝ヶ森の写真]
小石木山から貝ヶ森を望む
2003年3月17日

● 3月11日
 また冬に戻ったような北風の冷たい今日です。昨夕、天文台に向かう車の窓からはるかに北の山を見ると白髪山(しらがやま)や三嶺(みうね)の尾根が雪で白く光っています。その上は限りなく蒼い空。しかし昨夜はシーイングが悪く、星たちは勝って気ままに踊り C/2003 A2 のような19〜20等の彗星はとても写りません。氷を割ったようなドームの中で6時間がんばりました。
 C/2002 Y1 が6〜7等級に見えているはずですが、東北天の木立にかくれたまま黎明(れいめい)を迎えました。しかし肉眼では平常の5倍もの星が見えるようなすごい星空でした。
 朝、天文台からの帰り、高知空港近くの早咲きの桜を写してみました。まさか桃の花ではないでしょう。東京で『湯島の白梅』を見たばかりで気になりましたが、さすが土佐は早いですね。もう紅梅も見られません。この場所は海に近いせいか(海岸まで300m)開花が1ヶ月も早いようです。
[高知空港近くの桜の写真]
高知空港近くの桜

● 3月9日
 所用で2日間だけ上京しました。上野に泊まり近くの湯島神社を歩いてみました。高知ではすでに過ぎた梅の花が境内に咲き誇り、まさに『湯島の白梅』です。同じころ高知空港の近くで気の早い桜が満開となっていました。上野のホテルの窓からすぐ近くに”不忍池(しのばずのいけ)”が見えていました。30年余り昔に比べると池の周りがずいぶんにぎやかになったような気がしました。昔は独り良く訪ねた場所でした。大昔の私が池の周りを歩いているような気がしてなりませんでした。あの頃は彗星を発見することしか考えない私でした。

[湯島の白梅の写真]
湯島の白梅
● 3月8日
 英語版のウェッブページを開設した関係で海外から多くのメールで祝意が寄せられています。MPCでのコードナンバー170のスペインの観測者や、あの有名なアメリカの彗星発見者レビー氏からのメールもあり驚きました。インターネットの力はすごいですね。なお、レビー氏からの全文は近く天文掲示板に発表します。



Copyright (C) 2003 Tsutomu Seki. (関勉)