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2001年1月の日記

● 1月25日
 高知県窪川町の教育委員会の主催による婦人学級の第3回目(最終回)が、1月25日に同町の「道の駅」で開かれ「星と人生」と題して多くの体験を語りました。参加者は30〜40代がほとんど居なくて全員50才以上というのは最近の現象でしょうか。学校通いのお子さんを持つ若いお母さんらにも話したかったのですが、それでも多くの方々が大変熱心に私の話を聞いて下さいました。
 講演会を成功させるのは、本人の努力もさることながら聴衆のマナーも大切なのです。
 そこには人前で話すことの嫌いだった私が多くの人に支えられ、いつの間にかそれに熱中している自分自身の姿を発見するのでした。

● 1月16日
 天文台のドームの中は氷を割った様な寒冷地獄です。夕方すでに気温は1℃。色々な天体を狙って午前0時までがんばりました。丘に停めた車は北向きですと北山降ろしの寒風でフロントガラスは真っ白な氷が張り、お湯がないとクリアーになりません。それで南の海の方向に向けてあるのです。後ろ側のガラスが曇りますが、帰る途中でヒーターでクリアーになります。
 水素増感フィルムに天然の冷却(-4℃)がかかってフィルムの感度は上々です。極限は20等までいけそうですが、昔と違って空が明るくカブリが気になります。しかし最近出現したC/2000Y1、C/2000Y2、C/2000Y3とリニアの暗い彗星が楽に写りました。この寒波、30年昔の高知市での寒さを思い起こします。水道管が凍って水が出ないことは近年ありませんでした。1950年台に高知市で最低-7.8℃という記録が私の観測ノートに記されてありました。私の発見前の苦闘の暗黒時代の頃です。

● 1月15日
 極めて寒い一日でした。夕刻天文台へ着くとドームの中が摂氏2度でした。夜半から早暁にかけては氷点下でしょう。これほど寒いと芸西付近の町も道路も活動が低調で、ふだん明るい西空(高知市方面)もただ暗く、今ぞと最近観測が少なくなっている西空のコホーテク彗星から観測を始めました。
 芸西天文台で使っているパトロール用のフィルムはブロニーの6415で大阪の好見勝美さんに水素増感をお願いしています。今はCCDの時代で旧式の写真観測は世界的に見ても片手の指で数えるほどになりました。芸西はそうした古き時代の最後の天文台で、その仕事を陰で支えて下さっているのは好見さんなのです。
● 1月12日
 松葉川温泉からの帰路、冬空が美しく晴れ上がりましたので、有名な興津(おきつ)岬に足を伸ばしました。国道56号線沿いの窪川町から南に約18Kmの海岸です。国道からの道(2車線)は良いのですが、海岸に標高300米くらいの山がでんと構えて、そのうねうねとした山道を乗り越えます。峠から南の太平洋を俯瞰(ふかん)する眺めはまさに絶景で、逆光で金色に輝く海に浮かぶ小さな黒い島の影が印象的でした。昔はこの山を歩いて越えるのが大変だったろうと思います。そんな難所にまるで置き忘れられたかのごとく地元の人(主に漁師さん)のみが知る美しい海岸があったのです。
 今は有名な海水浴場(日本55選の1つ)になって、夏は沢山の人が訪れるようになりました。私は20年余り昔この地を踏んだことがあります。今日は風の大変強い日でしたが、渚につけた自分の足跡を振り返り、ふと天文生活の縮図を見たような気がしました。
 誰もいない冬の海は私に何かを語りかけているようでした。
[興津の浜]

● 1月11日
 高知県高岡郡窪川町日野地の松葉川温泉で第2回目の婦人学級があり、2時間ほど会議室で講座を持ちました。年代は50〜60歳代の星を知らない主婦ですが、今回は70枚ほどの天体のスライドを使ってあらゆる天体現象を説明し、また前回に引き続いて「星座早見盤」の練習を行いました。
 場所は高知県西部の山岳地帯で近くに都会はなく夜空の暗さは抜群です。広いホテルの洋室から眺めると100米ほど離れて低い山の麓が見え、そこからの渓流が夜のしじまを破って伝わってきます。
 月が昇ると山肌は一斉に銀世界となります。しかし月光のあたらない影の部分は黒よりも黒く見事なコントラストを描いています。
 夜半には早くも西の山に落ちていく木星の亘光が平地で見る5倍も大きな光芒に見えました。
 私が幼い頃(戦時中)高知市の西北の米田というところに疎開していましたが、農家の側から見る赤鬼山の光景に良く似ていました。久しぶりに田舎の良さを思い出させてくれました。
 米田は「おにぼたる」の名所でしたが、松葉川の夏はどんなものでしょうか?
 静かで川魚や山菜を中心とした料理も良くキャンプ場もあって都会からのお客さんも多い様です。
 四国で星が美しい屈指の場所の1つです。(0880-23-0611)



Copyright (C) 2001 Tsutomu Seki. (関勉)