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2008年06月29日

梅雨の中晴れ

 27日は高知県も安芸市を中心とする東部で大雨が降りました。芸西の天文台もその中心で、被害が心配されましたが、28日の昼間、下元さんが見に行ったところ、やはり天井のスリットのわずかな隙間から雨が落ちて望遠鏡や絨毯の一部を濡らしていた由でした。下元さんがきれいに掃除し、夜になってお天気が芳しくないのを見計らって帰宅の途についたのですが、私は逆に、夜半には晴れると占って天文台に出発しました。その道すがら、同じガソリンスタンドで会ったのは意外でした。
 ”関予報士”の天気予報は当たることがあります。天文台では22時ごろから、見る見る晴れ始め、ご覧のような見事な「天の川」が天文台の上をまたに駆けて南北に走りました。とりわけ木星のある、いて座付近の星空は壮烈で、新星でも現れているかも知れないと思いながら、じっと眺めていました。
 夜明け前にはC/2007 W1(Boattini)が東天に低く6等星くらいで見えるはずですが、薄明が始まったころには、まだ地上0度で東の森の中に深く隠れています。いま地心距離が小さいので、もし見え出したら壮観かも知れません。

[夏の天の川の写真]
2008年6月29日 23時30分から20分露出
Nikkor 28mm F4  TMY400フィルム

2008年06月13日

物凄い天の川でした

 6月12日は芸西の70cm反射望遠鏡を製作した、京都の西村製作所の社長がやって来て、高知工科大学に関係者が集まって、今後の望遠鏡の改良点なんかについて話し合いました。大型天体望遠鏡というものは、完成直後から完璧というものはなく、観測者とメーカーがお互いにタイアップして、不具合なところは逐次改良し完成していくものと思っています。今回は特にレデューサの位置におけるF数の問題や、斜鏡によるケラレなんかが指摘され、今後の対応が話し合われました。
 夜は梅雨の中晴れというのでしょうか、講師の下元さんと夜半までドームの中でCCDのテスト撮像なんかの作業を行いました。雲がやや多かったのですが、下元さんが帰って後、西空から晴れはじめ、夜明け前には見事な星空となりました。


観測中の70cm反射望遠鏡

 それは物凄い天の川で、その光芒には立体感がありました。ドームの中では今見えている既知の彗星たちの位置観測のための撮影を行い、夜明け前30分間は15cmの双眼鏡で東天を捜索しました。明るいレンズに写る星は無類の美しさで、コメットシーカーで捜索するときこそ真の星の美を満喫する時です。ペルセウス座の二重星団は宝石箱からこぼれた無数の星屑。途中入ってきた三角座のM33は、何時か観たホームズ彗星のように大きく拡散して煙の渦のよう。全光度は5等級と見ました。
 星座の撮影は観測しながらの私の好きなモノクロフィルムでの結果です。


ドームの外から見た天の川
Nikon F80, 35mm F2, 60秒露出, TX400フィルム