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2007年07月17日

月下美人が咲きました

 暑い毎日です。今が最高の気温でしょうか。
 有名なタンゴの曲に「月下の蘭」というハープで演奏される曲がありましたが、かねてから蕾みをつけていた「月下美人」が今夜遅くついに咲きました。夜1回しか咲かないと言われている珍しい花で、昼間は蒼い蕾みでしたが、22時ごろから咲き始め24時には満開となりました。しかしわずか数時間の命で、夜明け前にはしぼんでいました。一体このような深夜に誰に見られるために咲くのでしょうか。夜は蝶も蜂も飛んできません。ただ南の低い空に13夜の月のみがこの光景を見ていました。月夜にしか咲かない花でしょうか。しかも1年にたった一晩だけ。
 世間にはよく人に知られた一流と言われる人がいます。美人もいます。しかし案外「葉隠れ」の人の知らない場所に優れた人や、ものがあるのではないか、とふと思いました。名誉や高名にこだわらず、一生を彗星の捜索にささげて、人知れず美しく生きて去って行った人がありました。月の美しい夜に咲いた月下美人の白い花びらを見ながらふと、そのようなことを思いました。

開花した月下美人と13夜の月

2007年07月15日

そこにマウナケアの天の川が....

 台風一過、なんと言う素晴らしい晴天でしょうか。窓に映る青空は深淵を思わすような、深い蒼です。
 芸西の星も今夜は生きていました。天の川全体の光が天地を圧倒して私達が本当に銀河宇宙の中に位置していると思うくらい、立体感をもって迫りました。10年前に見たあのマウナケア山頂の物凄い天の川を連想しました。
 C/2006 VZ13 (LINEAR)は最初小惑星として登録された天体ですが、いまや彗星としての本領を発揮しました。夕空の北空を急速に南下する姿を芸西の60cm反射望遠鏡が捉えました。8cmのファインダーでは明るく7.5等星で、コマは7分角と見ました。ここしばらく夕空で楽しめるでしょう。
 夜半を過ぎてから東天の捜索に移りました。今夜久々に15cmの双眼鏡にナビを設定しました。三角座のM33が驚くほどに大きく明るく見え、全体の光は優に6等星を超えていると思いました。
 朝方になって、懐かしいスバルやヒアデスの散開星団が見えてきました。1964年の今頃浜松の池谷(いけや)さんが、このヒアデスの中に7等星の彗星を発見したことを思い出しました。結構低い位置です。
 夕方の20時から天文台に来て、なにやかや結構忙しい一日でした。4時前、明けの薄明を背負う様に西に向かって走り帰宅しました。捜索を行って美しい星をコメットシーカーで眺めた日は爽快な気分です。これぞ彗星の捜索者のみの知る、世界でしょう。


C/2006 VZ13 (LINEAR)
2007年7月15日 21時01分(J.S.T)から10分露出
60cm反射望遠鏡 TMY400フィルム