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2009年10月30日

カノープスの思い出

 今年もカノープスが高く見えるようになりました。いよいよ冬です。
 この10月に天文台周辺の雑草刈りをやった関係で、天文台周辺の見はらしが実に良くなりました。カノープスは天文台の入り口から東南の空に悠々と見えています。そして沈むまでの長い時間楽しむことが出来ます。
 前にも少し書きましたが、私が初めてカノープスを見たのは1965年10月22日の早朝でした。折から太陽に接近中の「池谷・関彗星」を追って須崎市の蟠蛇の森(ばんだのもり)に上がった時、初めてカノープスにお目にかかりました。当時”天文冒険家”だった土佐市の池幸一氏の誘導によって見たのですが、それはまるでシリウスのような高さ、そして青さ。私は咄嗟に大犬座のシリウスと思ったほどです。一体、この高さ、そして輝きはどうしたことだろう!?カノープスといわれる星のはるか下に地平線があり、その間、累々として星が、星座が続いているのです。芥川龍之介の小説「杜子春」に出てくる仙人に連れられて竹箒に跨り、蛾眉山と言う高い山に飛び、その岩山の頂上で珍しい星を眺める、あの情景を思い出しました。「ここはよほど高い山と見えて、北斗の星が茶碗の大きさくらいに輝いていました....。」と。実際カノープスの驚きはあれから40年以上経った今も忘れていません。
 須崎市の「蟠蛇の森」に行けば不思議な星の世界がある。いつか彗星を追っかけたあの山に再び立って、カノープスを眺めたいと思っています。
 ここ芸西でみるカノープスも捨てたものではありません。
 そう、「蟠蛇の森」も星になりましたね。当時建てた「池谷・関彗星確認の地」という看板のことも懐かしく思い出されます。


2009年10月30日午前2時
ニッコール85mm F2  15分露出 アクロス100フィルム