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2003年6月の日記

● 6月12日
 小雨が降ったり止んだりする中、天文台にやって来て60cm鏡の手入れを行いました。先日の台風で天上のスリットから雨が漏り、主鏡に落ちて白い無数の斑点を作っていました。ウィンドウ用のクリーナーで清掃し、しばらくドームの中でフタを開けたまま乾燥させました。
 今は明るい彗星はありません。しかし雨期の終わる7月中旬には何かを映し出してくれるでしょう。それが新天体であれば良いが。

● 6月3日
 昨夜から天文台にやってきてリニアの暗い彗星を観測しました。ドーム周辺の草の中でりーんりーんとかん高く虫が盛んに鳴いていましたが鈴虫でしょうか?
 夜半になって少し雲が出ました。今日6月3日は本田実氏が新彗星Honda-Bernasconi(C/1948 L1)を発見した記念の日です。この彗星は5月15日に近日点をとおり0.2天文単位まで太陽に接近し、明け方のペルセウス座に昇ってきたところを本田さんは肉眼で発見しました。広島県の瀬戸村の山の中で15cm反射経緯台(15cm F6.3 23X)を使って一通りの捜索を終えた午前3時40分、本田さんは太陽に近い明るくなった天空をいつものとおり肉眼で監視して見つけたものでした。イタリアでも少し遅れてベルナスコニーが双眼鏡(7X50)で独立発見しています。光度は4.5等でした。この年の暮れに有名な本田・ムルコス・パジュサコバ彗星が登場。その頃私は高校3年生の学生で、虫眼鏡の筒で夜天を追っかけていました。ああ、懐かしき”ホンダ彗星”。秋冷の夜露にぬれて数々のホウキ星を発見したコメットシーカーは今いづこに存在するのであろうか?

 写真は1948年、本田・ムルコス・パジュサコバ彗星を発見した頃の筒です。

クリックすると大きな画像が見られます

本田実氏が広島県の瀬戸村で使っていた
15cmコメットシーカーの筒
(倉敷天文台所蔵)



Copyright (C) 2003 Tsutomu Seki. (関勉)