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2001年2月の日記

● 2月27日
 犬がいなくなって、この半年ほど鏡川畔を歩くことがなくなっていました。しかし水泳ばかりではなく健康のためには歩くことも必要だと思って久しぶりに河畔を歩きました。川面は対岸の森(氏神様の)を映し、いつも間に帰ってきたのか水のぬるんだ水面をたくさんの鴨たちが泳いでいました。鴨たちにも言葉があるらしく犬や人影を発見すると「ピヨピヨ」という鳴き声を立てて仲間に知らせます。そして全体がきれいな編体となって沖の方に移動するのです。
 人家の軒には白い梅の花がひっそりと咲いて、もう早春の香りを漂わせています。でもうぐいすの声はまだ聞かないようです。
 今夜は雨という予報でしたが曇ったのは夕方少しの時間で、夜に入ると見事な星月夜。芸西に飛んで午前3時ころまで観測しました。天気予報の半日以上のずれが幸いをもたらしてくれました。
 今は北天に移ったマクノート・ハートレイ彗星(1999 T1)が20cmで見ると8.9等星で美しい純白の円盤像を見せていました。
 C/2001 A1(LINEAR)は少し暗くなりましたね。18等くらいで写っています。
[鏡川と鴨]
鏡川と鴨

[氏神様]
氏神様
● 2月24日
 夜半に天文台へやって来ました。40Kmはなれた高知市付近では良く晴れていたのですが、1時間後天文台へ着くと東西に大きく帯状の白い雲が発生し冬型となってシーイングも悪くなりました。しかし雲間を縫っていくつかの暗い彗星を撮影しました。宇都宮・Jones彗星は急に暗くなって60cmでも簡単には写らなくなりました。しかしC/1999 T1 マクノート・ハートレイは今北天に進んで8.5等くらいの美しい円盤像を見せています。かんむり座のR星も上昇してきたのか肉眼が幽かです。ヘルクレス座の球状星団M13は天頂に見事です。
 最近これらのM天体(110個)をポスターにした美しいカラー写真が日本天文学会から発行されました。写真は佐藤裕久さんから贈られたもので、アルミで枠取りしてスタジオに掛けましたら実に美しいもので、お客さんたちが瞠目しています。その横にはイケヤ・セキ彗星の畳半帖のカラー写真がかかっています。


● 2月23日
 2月に入ってから雨天が多くなりました。昨夜は少し晴れ間が見えたものですから天文台にやってきたのですが、日付けが変わる頃から雲が多く流れ始め、ついに観測は駄目になりました。天文台のある和食というところは北は四国山脈、東は八流山、西は手結山に囲まれた盆地となっており、夜半には園芸用のビニールハウスに一斉に明かりがともる関係で、その熱が上昇して低い雲を発生させやすい所です。いつも諦めて西に向かって走っていると手結山のトンネルを抜けたあたりから晴れていることに気付きます。芸西はこの様にお天気の悪い所です。
 午前1時50分です。突然東の森の上に大火球が飛びました。天文台から東北東の高度25°の曇った空を約5秒。半月ほどの火の玉が南から北に落ちました。近畿地方では良く見えたはずです。白い光でした。

● 2月12日
 2月に入ってから少し暖かくなりましたが、天気のくずれる日が多くなりました。今日も曇りのち雨の天象でしたが地元芸西村馬ノ上の婦人6名からの見学申し込みがあり、幻灯をみながら冬の星座を学び幻想的な冬の天の川を眺め、さては遠い宇宙の果てにすばる望遠鏡の見た13億光年かなたの銀河を望見しました。晴れておれば望遠鏡をのぞくだけの会となります。曇っておれば、かえって面白かったという出し物が出ます。見学者としんみりと宇宙を語り、宇宙人のことを考える。天気が悪かったからこそ出来たのです。「宇宙人はたくさんいる」これが今夜の会の結論でした。

● 2月2日
 大変寒い一日でした。今日は小学校の先生ばかり10人余り天文台に集まって観測会となりました。寒いほど星は美しいのですが、今夜の冬の星座たちは格別で、星に大気のゆれがややあったものの土星の輪も木星の縞模様や衛星たちもよく見えました。冬の大三角も見事でカノープスも夕方見るのに適した時期となりました。「カノープスが見えている!」。誰かが歓声をあげました。
 写真は天文台から見た南の国道55号線と水平線付近を行く漁船の灯。そしてその上にポッカリと浮かぶ巨星カノープスです。
 85mmF2のレンズで10分ほど露光しました。周囲の微光星まで写っているところにご注意ください。
[芸西天文台からのカノープス]

● 2月1日
 私は如月(キサラギ)という月は好きです。まだ春が遠い様ですが日光に何となく柔らかさが感じられ、小春日和の風のない穏やかな日が多くなるからです。しかし夜はまだ冬の星座の天下で荒い大気に揺さぶられた木立の中に輝くオリオンは早春の代表的な眺めです。そして地平線上で遠ぼえする大犬に中空でじゃれる子犬の輝き。冬の大三角も今が1番の見物です。
 オリオンの大星雲の中のトラペジウムを20cm屈折で覗いてみました。50Xで見事な4重星に分かれますが性能の悪いレンズでは潰れてしまいます。写真に撮るともうもうたる星雲に飲み込まれて見えなくなりますが、僅か10秒ほどの短時間露出で見事にその輝きをアピールしてくれました。
[トラペジウムの写真]



Copyright (C) 2001 Tsutomu Seki. (関勉)