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2005年07月26日

ブロニカECで夏の天の川を撮りました。

 天文台の公開の日で県外から団体のお客さんが40名ほど来てごった返しました。もっともメインの60cmは故障していますから予備の小さな機械での観測会となりました。
 この日は私の担当ではありませんでしたから、私は自分の小屋で星野の撮影を行いました。昔、買っていた「ブロニカEC」で天の川を写してみました。レンズはニッコール75mmF2.8で、このレンズに惚れて買ったものでした。コマは端から中心に向かうニッコールレンズ特有の珍しいものですが、全体にピントは尖鋭なようです。第一バルブ露出のみ機械シヤッターと言うのがよい。
 さそりのしっぽ近くのメシエの散開星団のやや西の新星が9.2等の明るさで写っています。この程度ですと75mmレンズでは、判定に苦労するようです。全体に露出オーバーな天の川の写真となりました。翌27日21cmのイプシロンで撮った写真では8.1等になっていました。芸西天文台通信2005年7月27日号をご覧ください。
[ブロニカECで撮った夏の天の川]
ブロニカECで撮った夏の天の川
2005年7月26日 20時30分(J.S.T)から10分露出
TM400フィルム

2005年07月18日

親子天文教室が始まりました。

 朝から良いお天気です。今日は恒例の「親子天文教室」で全3日間の第1日です。初回は主に岡村講師の指導で、簡単なケプラー式の天体望遠鏡の製作に励みました。
 自分で作った望遠鏡で実際に星を見る喜びを子供たちは感受したわけで、いつも大きい望遠鏡で大人から見せてもらっているのですが、今日はそれとは違った感動と喜びを感じたことでしょう。
 子供と親が一つの工作に熱中している姿は美しいもので、これからの子供たちがこうして科学に興味をもち、そして健全な遊びに熱中してほしいと心の中で願わずにはいられませんでした。
 幸い空は晴れて月や木星を見ました。「クレーターが見える」とか、「木星の衛星が3つ見えた」とか、遅くまで興味は尽きませんでした。

 ところで60cm反射望遠鏡の故障ですが、いま高知県生涯学習課の中内さんが五藤光学と掛け合い早急な修理について検討しているところです。どうやらメインのパルスモーターがいかれたらしく、五藤によると新しく作れば約2ヶ月かかるそうで、最悪の場合にはその間精密な天体観測はお休みになります。しかし見学者の多い時期で一般の観望や学習は予定どおり行われることになっています(写真は室内で工作し、外に持ち出して観測している風景です)。

望遠鏡を製作する親子
親子天文教室(芸西天文学習館)


手作り望遠鏡で観望を楽しむ

2005年07月17日

Retina Ⅲcでカシオペア座付近の銀河を撮りました。

 今日は天文台の公開日で梅雨明けの暑い日30人ほどの人が集まりました。
 最初に大庭講師によるパソコンからのプラネタリウムに投影があり、のち60cm反射望遠鏡のドームに入っての月のクレーターや木星の模様の観察を行いました。しかし60cmの赤道儀が不調で観測の途中で遂にモーターが停止しました。今までの故障とは少し違った様子で、20年回り続けた機械もついに終焉を迎えたかな、という寂しさを感じました。これはかなり重大なことで、芸西の観測はしばらくとだえます。
 梅雨明けのクリアーな空には入道雲が高く湧いて空の色は濃い蒼です。夜の星も北の天の川の輝きにふと秋を感じました。
 21cmのイプシロンに50年昔の名機「レチナ」(Retina Ⅲc)を載せてカシオペア座付近の銀河を撮りました。レンズは風景に特別な味のある深い描写をする「ヘリゴン 50mm F2」(Rodenstock-Heligon 50mm F2)、これが初めて星空に挑戦しました。この名レンズの細緻な映像をご覧ください。

カシオペア座付近の天の川
2005年7月18日 2時10分から10分露出
Retina Ⅲc + Rodenstock-Heligon 50mm F2
TM400フィルム

2005年07月15日

C/2005 N1を観測しました。

 朝から見事な快晴となりました。恐らく今日で四国地方の梅雨は明けたものと思います。
 昨夜遅くから久しぶりに天文台にやって来て観測しました。宵のうちは風の無い雲の多いお天気でしたが、夜が更けるに従って快晴となりました。朝の捜索でペルセウスの二重星団やおうし座のスバルなんかも見ました。心が洗われるような美しさでした。特にスバルは今年初めてで懐かしい眺めでした。たしか1964年7月初めに「第二池谷彗星」が発見されたのですが、それはこのおうし座のヒアデス星団の中だったように思います。15cm反射で光度は7等でした。
 さて7月に入ってもプロによる暗い彗星が発見されていますが、今朝は中でも明るいC/2005 N1を観測しました。
2005UT           RA  (2000.0)  Degl.       m1
July14.71493  04 11 21.39  +42 50 26.7    14.5     372
    14.72371  04 11 24.04  +42 50 46.6    14.3     372
    14.75000  04 11 32.25  +42 51 47.3    14.2     372
 第3の観測中、東天の低空に薄雲が発生し多少観測の精度に影響したかも知れません。しかし全体の精度は良く、最初に発表されたIAUの暫定軌道要素から70”ほど外れています。イメージは小さな拡散状で核はしっかりしています。
 相変わらず暑いですね。しかしスバルも日ごとに東天に高くなりやがて8月のペルセウス流星雨を見る頃には夜は涼しくなって秋を感ずるようになるでしょう。いつかマウナケアの頂上で見たような「天の河」が芸西の空に懸かっています。

2005年07月07日

 七夕の日です。毎年

 七夕の日です。毎年この時期には梅雨が完全に明けていませんので星の見られる晩は極めて少ないのですが、今年のこの日は薄い雲に覆われていたものの、夕方には天頂に織女星が見えました。思えば幼い頃家の中庭に毎年七夕様がやって来ると、母が2本の竹を立てて無数の短冊を吊るして賑やかなお祭りをしていました。いつも夜空は晴れて、夜風に短冊たちがさらさらと音を立ててそよぎ、まるで夜空を流れる天の川のせせらぎの音を思わすような風情でした。夜が更けてくると夜風が涼しく秋の到来を思わすような気分でした。それもそなはず、昔は旧暦の七夕様を祭っていたからです。庭の涼み台に腰を降ろし、湯上がりのほてる体をうちわであおりながら、星の輝く下、お年よりの昔話を聞いたのも今では懐かしい思い出です。中でも北の山で狐火が走る話は鬼気迫るものがありましたが、寺田寅彦の随筆の中にもこれに似た話が寅彦自身の目撃談としてでてきます。