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● 5月29日 元東京天文台の冨田弘一郎さんから土佐の山内家にある天体望遠鏡についての問い合わせがあり、数点の写真を送りました。この写真(写真1)はその中の1枚で、土佐天文史研究家の岡村啓一郎氏といっしょに写っています。 望遠鏡は今から約200年ほど昔の土佐藩最後の殿様、山内容堂公の時代に入手したもののようです。天文の機器としてほかに多くの渾天儀(こんてんぎ)が残されています。このドイツ(シュナイダー光学)製の天体望遠鏡は口径80mm F15で、天体用の3個のアイピースとサングラス。それに地上用の正立のアイピースも付いており、1987年にあのマースデン博士も見学しました。その頃いったい誰が何の目的でこれを入手し、天体を見たのか?それは容堂公自身なのか、それとも常に時代を先取りした坂本竜馬なのか。竜馬は大宇宙を見ることによって広大な宇宙を知り、鎖国的な日本から全世界に羽ばたく彼の思想が生まれたと考えるのは早計でしょうか?ハレー彗星の頭上に輝く1835年11月15日に生まれた彼は、奔竜天馬の如く空を行くホウキ星がヒントとなって”竜馬”の名を得たのです。竜馬が覗いたかもしれないこの天体望遠鏡で私は1986年3月、ハレー彗星を見ました。あの美しい光景は忘れられません。 写真2は坂本竜馬の銅像の前に立つマースデン博士(向かって左)と関です。 |
(写真1) 山内家の望遠鏡と岡村啓一郎氏 (写真2) マースデン博士と関 |
● 5月20日 夜遅く天文台にやってきました。草むらで光るクロマドホタルを探しましたが、先日の虫はどこへ行ったのかまったく姿が見えません。天界には星の光ばかりです。野尻抱影氏の句にこんなのがあったことを思い出しました。 草に見る星座ホタルの香に青き写真(1)は野尻抱影さん。今から30年ほど前にNHKのTVで放送されたときのもの。この時オリオン座の東の方に「”オリオン霊園”をこしらえてある」と話していました。”オリオン霊園”とはいかにも美しい名前です。野尻さんはこの星空の霊園で今は静かに眠られていることでしょう。 もう夏が近いですね。天の川はとりわけきれいで、南の夜空にくっきりと浮かんでいます。暁になって東天を捜索。超低空で昨日は見えなかったM31の近くのM32が今朝はかろうじて見えました。35年ほど前、5月1日の朝、5人が同時に彗星を発見すると言う発見騒動がありました(ダゴ・ホンダ・ヤマモト彗星)。 写真(2)はM31です。C/1968H1(Tago-Honda-Yamamoto)はこのM31の近くに6等級で発見されました。 |
写真(1) 野尻抱影さん 写真(2) 見え出したM31 2003年5月1日 午前4時 ε210 2分間露出 |
Copyright (C) 2003 Tsutomu Seki. (関勉)