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冥王星への想い

 いまNASAの無人探査機が接近中の準惑星「冥王星(めいおうせい)」は私が生まれた1930年に発見された関係で、私には特別な思いがありました。
 発見した当初はいて座であったという事ですが、その冥王星は現在同じいて座にいることに気づき、芸西天文台の70cm反射望遠鏡で撮影を試みました。下元(しももと)さんの調査では天の川の微光星の多い中に14等星として写っています(矢印)。約1時間後に2度目の撮影を行いましたが、遠いので2枚の写真を見比べても移動がわかりづらいです。しかし、2枚の写真を交互に表示させてみると、移動している様子がよくわかります(3つ目の写真)。

 私はかねてから疾患のあった心臓部の手術から退院後の2日目の観測行ですが、少し無謀かな、と自分でも反省しました。


冥王星
2015年7月15日0時頃
芸西天文台 70cm F7反射望遠鏡 + Nikon D700


冥王星周辺を拡大


1時間後に撮った画像と交互に表示
(中央で移動している天体が冥王星)

 1930年、冥王星を発見したトンボー氏について1970年代に取材に来たBBC放送のトーマスプロデユーサーは、「宇宙の驚異」と言う番組を製作するにあたって、世界中の有名な天文台を訪ね取材しました。まだ芸西天文台が無かった頃で、私の家にも来てロケを行いました。この取材の様子はイギリスの作家によって本になり、私も所持しています。
 冥王星は1930年トンボーが、ローウェル天文台2代目スライファーの指導の下、火星の運河説で有名な初代ローウェルによって始められた第9番目の惑星の捜索中に発見されました。
 BBCのトーマスさんはローウェル天文台でトンボー氏に会ったとき、彼はUFO(未確認飛行物体)を信じるただ一人の天文学者で、冥王星発見の話の他に余談として、謎の飛行物体の話を聞かされたそうです。「砂漠の中の天文台の上に良く訪れて旋廻する」と言ったそうですが、冗談なのか本気なのか判断できなかったそうです。
 天文の映画は日本では放送されませんでしたが、それを見たスミソニアンの故マースデン博士が「私もいずれ高知を訪ねたい」と言ってきました。彼の思いはハレー彗星の去った翌年の1987年に実現しました。

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2015年07月14日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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