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懐かしい望遠鏡との対面

 多少古い話しになってしまいましたが、去る7月、講演のために姫路科学館を訪ねました。それは小惑星「姫路」が誕生したことを記念する講演会でしたが、会場の片隅に、口径22cmの反射鏡の筒が飾られていました。
 これは私が、芸西天文台発足当初の1973年から使っていたものを当館の小関高明氏(高知県土佐市出身)に遠い昔に譲り渡したもので、鏡は小島鏡の傑作です。写真は実に35年ぶりの対面です。
 懐かしい思い出は、この小さな反射鏡で、私の記念すべき最初の周期彗星を検出したことです。その名は「フィンレー彗星」。そう、忘れもしません。天文台がまだ個人の小屋の時代の1974年6月のことです。明け方の近日点近くにあって、低く行動していた、同彗星を狙って、足しげく通いました。6月入梅前の好天を利用して捜索しました。22cmという、周期彗星検出には異例の小さな筒を駆使して、しかもコダック社の天文用ガラス乾板を使い、そのコース上を何枚かの写真に収めました。その頃、アメリカではローマー女史の全盛で、日本では故、冨田弘一郎氏が堂平の90cm反射鏡を駆使して、次つぎに暗い周期彗星の発見に勤めていた矢先でした。
 それはこの世界での突然のアマチュアの台頭です。この藪から棒の発見に当の冨田氏はもとより、スミソニアンのマースデン氏が驚いたに違いない。
 筒はその後、間もなく同じ小島氏の40cm鏡へと進み、更に多くの彗星検出と発展していくのでした。その頃の私のモットーとすることに、口径は小さくとも、それで出来る最大の仕事をしよう、ということでした。そのことはコメットシーカーでも生かされ、口径88mmのレンズで新彗星3個の発見に成功したのでした。「イケヤ・セキ彗星」は、その中の1つです。


1973年から使っていた22cm反射望遠鏡と対面
姫路科学館にて
2010年7月11日

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2010年09月05日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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