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上町の桜満開

 私の住んでいる高知市の上町は今が桜の満開をむかえています。ここは旧、築屋敷町と言って鏡川に隣接する静かな住宅街です。この堤防には100本ほどの桜の木があって、高知市では最も遅い花を咲かせます。
 竜馬が少年のころ剣道の修行に通っていた道場はこの写真のあたりに在ったと想像されます。見えている立派な石垣の家は山崎さんといって、むかし土佐女子中学の先生をしていました。私が10年余り前に犬を連れて散歩していたとき、この家の主人に良く会っていました。
 1948年ごろだったと思います。明方の空に「マックガン彗星」という明るい肉眼星が出現したとき、素早く見つけてラジオで解説していました。翌日の朝刊にも出ましたが、実によく観察してコマや核の様子、其れに尾の長さもチャンと角度で表現して報告していました。そのころ私はまだ駆け出しでその大彗星は見ることが出来ませんでした。
 それから13年経って「関彗星 1961 R1」を発見したとき、この山崎さんから手紙が届き、昔の彗星のことが語られていました。「一度望遠鏡を見せていただきたい」と綴っていましたが、結局そのチャンスはありませんでした。一度も会って語る機会がありませんでした。
 家は閑散として人の気配は在りません。この住宅街は年々過疎が進んでいます。ようやく散り始めた花びらの落ちる音が聞こえそうな静寂に包まれていました。




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2010年04月05日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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