« 川平(かひら)の海にやってきました | メイン | 仲秋の名月が見えました »

対日照が見えました

 良く晴れた初秋の夜です。秋といっても叢で虫が盛んにすだくのみで、気温はまだ夏真っ盛りです。
 嬉しかったのは久しぶりにあの対日照がありありと眺められたことです。夏の天の川は西に傾き、その東側はバックの暗い星空です。そして、更に少し目を東に移動させていると、再び天の川に似た光芒に行き当たります。これが太陽と正確に反対側の空を白く染める「対日照」です。丁度夜半に天頂に輝くペガススの四角形と、ずーっと南方に独り輝くフォーマルハウトの中間の天空で、直径30度以上もあろうかと思われる大きな淡い光です。明るさは冬の天の川の暗い部分のさらに半分以下の光で、無論日本列島でも最高に空の良い土地でないと見られません。観測される皆さんも自分の場所で確かめてみてください。大正時代に京都で、中村要(なかむらかなめ)さんが見たのが、日本での最初の記録だったそうですが、その頃には、私の住む高知市でもきっとみえたことでしょう。昭和の始め頃には、広島県の瀬戸村に黄道光の観測所があって、本田実さんが、対日照も同時に観測して居られました。本田さんの最初の彗星発見の場所でもありました。今は、近くを高速道が走っているはずで、昔の名星空も見る影もありません。その点芸西はこうしてまだ黄道光はもとより、対日照も、見られる日があることは嬉しい限りです。これからだんだんと東に移って獅子座やおとめ座が背景にくる晩秋から冬にかけては、ますます良く輝くようになるでしょう。
 さて60cm反射望遠鏡による一連の彗星観測を終えてから、15cmのコメットシーカーで東天を捜索しました。今夜は小さいながらも経緯台で位置の割り出せるナビゲーターを使用しました。
 そうだった!
 42年前の今日は「イケヤ・セキ彗星」を発見した日でした。
 視野がクロイツ族のやってくる大犬座の東に向かったとき、特に入念に見ました。発見位置付近にNGC 2506の球状星団が入ってきました。あの時は機器が9cmと、小さかったので、恒星に分離できなかったけど、今回は双眼鏡でもあり、鮮やかに微光星に分解してみえました。ナビは正確にその位置を表示しています。無論「クロイツ組」はやってきません。一生に一度出会えることですら大変なのに、クロイツ族の彗星に二度も出会ったら大事です!。そのようなことを考えながら、視野はいつの間にか薄明の始まりかけた獅子座の方向に向かっていました。
 最大光輝の金星の明るさには驚かされました。そして懐かしいオリオンの星座にシリウスの輝きです。こうして暑くとも季節は確実に秋に向かっていることを感じました。


昇るプレセペと金星
2007年9月19日午前4時
ISO400フィルム 50mmF2

About

2007年09月18日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「川平(かひら)の海にやってきました」です。

次の投稿は「仲秋の名月が見えました」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。