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石垣島天文台に来ました

 芸西で発見した小惑星に石垣島天文台の105cmの反射鏡のニックネーム「ムリカブシ」と命名したことから、憧れていた石垣島にやってきました。丁度行き抜けた台風を追う形での訪問となったわけです。同じ飛行機で高知新聞社の岡部記者も同行しました。
 小さな飛行場では国立天文台の宮地竹史氏の出迎えを受けて、早速に海を見下ろす小高い山に立っている天文台に向かいました。この白いドームは飛行機が着陸する少し前から遠くに光って見えていました。
 折から南の長い一日の夕闇が迫り、山から俯瞰する壮大な海や街の灯が美しく眺められました。天文台に配慮してナトリウム灯が多いそうで、街明かりはそれほど気になりませんでした。20時には木星が丁度南中し、さそり座や射手座が驚くほど高く眺められました。ここは北緯24度。芸西とは10度近くも低いのです。南十字は水平線上2度以上に一番南のアルファ星が見えるそうです。
 105cmのカセグレンによるナスミス焦点で、有効最低倍率に近い約200xを使って木星を覗かせてもらいました。口径が大きいので、もろにシーイングの影響を受けますが、木星の表面が明るすぎるほどに強く輝き、空気が澄んだ瞬間には、表面が絵に描いたように詳しく眺められました。東の町の光害も比較的少なく、小惑星を専門に観測している天文台の研究員によると、CCDによって20等星までは写るそうで、21等にはまだ挑戦していないとのお話でした。ガリレオ衛星も良く見えました。しかしそれは点像に近く、むかし20cmで衛星の模様を見た人が居たそうですが、105cmで覗く限りそれは至難の業のように思えました。惑星のスケッチというのは、その人の主観や錯覚に影響されるので、私は余り好きではありません。
 南の天の川が良く見えるので、島で新星や彗星を探す人が現れたら面白いと思いました。幸いこの天文台は国立といえども民間に開放し、お互いに協力して運営されています。現にこの日も多くの見学者が、夜の観測に訪れていました。民間の中で委託された人が、その説明に当たっているようでした。天文台の指導によって、いずれは発見に貢献する人が現れるに違いない。明日の私の講演では、南の空の観測に有利なことを強調し、この地で発見に努める人が輩出する様な興味ある話にしたい、と思いました。
 見学終了後、南天の星空をバックに入れて、3人で記念写真を撮りました。南からかすかに伝わってくる潮騒の響きに、何時の日にかハレー彗星を追って南方へ行った日のことを、ふと思い出しました。ああ、ここは日本列島も南の果てです。


石垣島空港にて
左から宮地副台長、関、八重山星の会のメンバー

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2007年09月15日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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