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久万高原天体観測館を見て

 去る2月23日、お隣の愛媛県の久万高原にある天文台を見学しました。高知県生涯学習課の中内さんと高橋さんが同行しました。ここには昔から中村彰正さんがいて天文台を守り太陽系の天体の発見や観測に良い仕事をされているのですが、私には初めての訪台でした。最も松山方面に向う時、久万高原は度々通るのですが、いつも国道から天文台は何処にあるだろう?と思いながら通行していました。この季節には一面の銀世界のはずですが、ここにも暖冬が影響して一握りの雪もありませんでした。天文台は国道から1km以上も離れた意外に遠い山に囲まれた小さな盆地のようなところにありました。よく霧が発生するそうで四国でも梶が森天文台のある大豊町と並んでお天気の最もよくない所のようです。
 メインの60cmの反射望遠鏡は芸西の同じ60cmにくらべて実にコンパクトに軽量に纏められていました。芸西のは75cmの鏡筒の乗るフォーク式で実に大きく観測者が振り回されるのですが、ここのはコンパクトで操作が楽なように思いました。
 中村さんがここに来られたときには既に望遠鏡は納入された後だったそうですが、どのような優秀なメーカーの品でも凡そ完璧と言う物はありません。そこは観測者の腕がカバーするのです。幾つかの欠点や不具合を改良して使用しているそうですが、私には優秀な技術を持つ中村さんだからこそ、この望遠鏡が生かされ立派な成果を挙げて来たものと思いました。
 国内には1mクラスの大きい望遠鏡が多くあって稼働していますが、率直に言って優秀な観測者が極めて少ないように思われます。真の天文学的な成果は器械の大小ではなく観測者の腕に負うことが多いようです。中には完全なアマチュアで20cm位の小さな観測施設で世界の第一線に並んで立派な仕事をしている人が居る事は周知の通りです。器械の大小や性能を云々するよりも私たちの芸西も含めて立派な観測者を養成する事こそ最も大切な事だと痛感しました。
 久万高原天体観測館を見学した成果はそこにありました。


久万高原天体観測館にて(2月23日)
中央に中村氏

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2007年02月23日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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