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足摺に行きました

 急に足摺(あしずり)半島の海が見たくなって、春うららの午後高知県幡多郡大月町(はたぐんおおつきちょう)にやってきました。この付近のイナン海岸は今からざっと20年も昔、かのハレー彗星がやって来た頃1度来た事があり、南の斜面に海の見える樫西(かしにし)公園なんかが、観測に絶好の場所でした。四国も最南端で熱帯性の樹木に覆われた半島は強い太陽に輝き、いかにも南にやって来たとの実感が湧いてきました。昔から土佐に伝わる”わらべうた”に「大月灘桃色」と言うのがあり、高知市付近でも子供たちによく歌われました。大月町付近の海は珊瑚の産地で蒼い海がももいろに輝いて見えるというのです。
 当時土佐を治めていた山内の殿様は珊瑚を幕府に献上させられるのを恐れて「大月の海で珊瑚が取れるのを言ってはならぬ」とのおふれをだしました。しかしいつの間にかそのことが徳川幕府の耳に入り毎年珊瑚を献上しなくてはならなくなったというもので、それは地元の海人(あま)が言いふらしたということになりました。大月灘に打ち寄せる波の音は、今もその事を語りついでいるように思われました。その夜泊まったホテルにもさすが見事な珊瑚のネックレスその他の装飾品が売られていました。
 近代的なホテル「ベルリーフ大月」の部屋から眺める海は正に絶景でした。入り江に打ち寄せる波は静かに砂浜と戯れ、沖には小さな島が見事な影絵となって慕色に浮かんでいました。夜になって低い山に囲まれた入り江に漆黒の闇が訪れました。なんという暗さでしょうか、見渡す限り一点のともし火もありません。空は曇っているのか、一つの星すら輝かず、全くの闇地獄です。空も海も真っ暗闇、背後の大月町あたりの灯りでかすかに空の一部が白く光っているのでしょうか。雲さえ真っ黒です。そして恐ろしいほどの静寂。「ああこのような暗い場所で観測ができたら、、、」と、ふと嘆息を漏らしました。
 明日は日本列島で黒潮の真っ先に到着する場所と言われる足摺半島の「臼はえ」という別天地に行ってみましょう。赤い奇岩が黒潮と激突する豪快な海岸で、特別に「気」の漂う場所でもあります。

ホテルから見た大月灘の入り江

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2006年03月27日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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