«  高知ではまだ暑い日 | メイン |  晩秋らしい高い青空 »

 40年前の今ごろは

 40年前の今ごろは、太陽のコロナの中に突入した「イケヤ・セキ彗星」が、その後どのようになっただろうか?果たして健在で居られたろうか、と言う事で正に西走東奔の毎日を送っていました。海岸に出たり高い山に登ったり、その行く先先で観測する多くの一般の人に出会いました。当時如何にこの彗星の事が話題になっていたかが分かります。
中でも池 幸一さん(自称、天文冒険家)が一番多く登って成果を挙げたのが、高知県須崎市の播蛇森(ばんだもり)(標高765m)の山でした。彼は彗星が近日点を通る7時間前と17時間後とに、この山で彗星を確認したのでした。金色に光る鋭い核と白い蒸気のような激しく変化する尾を確認、それは正に100万度の高熱で煮えたぎる彗星の面影にほかなりませんでした。野人的な顔の池氏は「オーイ」と思わず日の出に向かって絶叫したのでした。そうです、彗星は生きていたのです。彗星から確かなこだまが帰ってきました。そしてこれから秋冷の夜空での華麗な舞が始まるのです。池氏は正に千歳一遇の貴重な観測を残したのです。
 あれから40年のこの日私は思い出の須崎市まで車で走りました。
そして新名古屋トンネルを抜けた須崎市への下り坂の途中で右手に遥か播蛇の森の雄大な山容を捉えたのです。ああ遥かに霞む遠い山....。彗星の思い出もこの遠い山の如く遠くにかすんでしまいました。時は流れ星は行き、そして人は去りました。しかしこの世に生まれたからには何かの記録をのこしたい。そのような私の希望、そして理想の一部が実現したような気がしました。
 私の眼にはまだ遠い播蛇の森が光っていました....。

遠くに雄大な播蛇森を望む

About

2005年10月24日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「 高知ではまだ暑い日」です。

次の投稿は「 晩秋らしい高い青空」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。