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 高知県

 高知県香美群香北町(旧、在所村)の”在所隕石”落下の地に行ってきました。現場は物部川のすぐ北の低い山の麓で、有光さんと言う農家の庭に落下したのです。
 落ちたのは明治31年2月1日の午前5時10分頃で、地元の「土陽新聞」によると大砲を何発も連続して発射するような轟音が天地をゆるがし、あたかも花火を打ち上げたごとく空は朱に染まって、丸い人頭ほどの火の玉がゆっくりと落ちて行くのが目撃されたそうです。これは現地から40Km北の愛媛県との国境に近い「船戸」という山中の村で目撃された光景ですが、赫赫の音は高知県のほぼ全土に響きわたり、多くの人が寝巻き姿のまま外に飛び出した、と伝えています。
先に伝えた明治28年の土佐市での隕石落下も、これに劣らぬ大音響が響いた事を考えると、隕石落下と言うものは大変おっこうな現象を伴うものである事がわかります。実際香北町ホウの木の落下現場に立った時、遠い宇宙からはるばる旅して来た隕星が、この今、私が立っている場所に落ちたかと思うと鬼気迫る思いに打たれました。
 有光博美さんによって管理されている”落下の碑”は1982年頃、隕石の所有者である五藤斎三氏が建てたもので、あれから100年余、何も語らぬ現場の碑の傍で、ひっそりと美しく咲いた百合の花が印象的でした。
 花も人も今は何も知らない遠い昔のできごととなりました。しかしあの時から、変わらぬ山並みに物部川の流れはすべてを知っている。私に何かを語り告げようとしているように思えてなりませんでした。

物部川沿いの山麓の農家に落下


隕石落下地点の碑(1981年建造)

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2004年07月11日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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