« 暁の空のパンスターズ彗星 | メイン | 倉敷天文台を訪ねる »

『無人島長平』の墓

 芸西村の天文台からの帰り道、岸本という国道55号線に沿った海岸線を走っているとき、奇妙な銅像と古い苔蒸した墓を発見しました。最近わけ有って建てられたもののようです。銅像のそばの建看板には『無人島長平の像』と書かれて、野村長平のことが説明されています。
 地元の漁師、長平は、今から230年ほどの昔(1785年)、船で嵐にあって、この地から東南東に760km離れた鳥島に漂着し、そこで12年間も窮乏の生活を送りました。そしてついに流木を使って船を組立て、自力で故郷の浜に帰ってきた、という驚くべき人物です。
 いまなら大変な英雄になっていたことでしよう。このことは足摺岬から、同じ鳥島に流されてアメリカに渡った『ジョン・万次郎』より半世紀以上前のことでした。万次郎はその後、アメリカで生活し、アメリカの文化を持ち帰って有名になりましたが、長平はそのような発展はなく、地元の人のみに知られる偉人として、ひっそりと余生を送ったものと思われます。
 長平の銅像の見つめる彼方には、今日も太平洋の限りなく広い青い海原が広がっているのでした。

[無人島長平の像と墓]
無人島長平の像

About

2013年04月25日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「暁の空のパンスターズ彗星」です。

次の投稿は「倉敷天文台を訪ねる」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。