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彗星会議を終えて

 彗星会議は2日間の日程を無事に終えて4月8日の夜帰宅しました。天文に熱心な人ばかりの集まった良い会だったと思います。私の講演は拙いものでしたが、特にいま”リニア計画”によるプロの掃天によって、アマチュアの捜索者が脅威を感じていることについて2つの実例を示し、眼視観測も熱心に続けていれば必ずチャンスがやってくることを強調しました。
 2つの例とは最近発見された眼視的彗星のレビー彗星(C/2006 T1)とマックホルツ彗星のことです。これらの彗星が発見されるまでの約1年半前からの位置推算表を示し、太陽と彗星の位置関係から、これらがプロの捜索の目を掠めてうまくコメットハンターの目に止まったことを説明しました。そして眼視発見の可能性は、確かにプロの捜索が始まってから三分の一程度に減少したと考える。しかしリニア計画が実行され始めた約10年ほど前から眼視発見は着実に続いており、それほどペースは落ちていないこと。アマはプロと違って毎年必ず成果を挙げていかなくてはならないという制約はなく、一生に1つでも2つでも良い、宇宙に自分の名の付く彗星が輝けば素晴らしいとの思いから始めた人が多く、そのようなチャンスは今後いくらでもあることを強調しました。
 昔、リニア計画の発表を知っただけで「アマの世界は終わった」と敗北して行った人がいますが、やめてしまえば折角の努力も水泡に帰し業績も忘れられてしまいます。生涯研究を続けてこそ、その人の業績は永遠に輝くのです。
 講演が終わったあと、国立天文台の福島英雄先生から、沖縄の石垣島天文台の望遠鏡「ムリカブシ」の小惑星への命名に関しての記念の額を戴いたのは光栄でした。
 帰りの乗り物の中では、多くの人の温かい心に触れたことが八海山の美しい雪山の風景と重なっていつまでも私の心に残っていました。


彗星会議の記念写真
立看板の真下に主催者の村上茂樹氏、その左に関勉

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2007年04月08日 14:13に投稿されたエントリーのページです。

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