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 皐月晴の良いお天気

 皐月晴の良いお天気が続きます。夕方から天文台にやって来て朝まで頑張りました。穏やかな気流でシーイングは大変良かったのですが時々薄い雲に視界が遮られました。
 夕方天頂付近に見えているテンペル第1彗星を20cm 60倍の屈折望遠鏡で覗きました。11.5等~12.0等の間で暗いながら良くみえています。写真は最近60cmの反射望遠鏡で撮ったもので、南に短い60"ほどの尾が見えています。このほかマックホルツ彗星は北天で9等級に落ちました。
 朝3時になって久々に東天の低空を捜索しました。今回は新兵器を使用しました(従来はニコンの12cm 20倍の双眼鏡を使用していました)。そして夜明け前30分になると、場所を上の丘に移動して9cm17倍のコメットシーカーに変えるのです。と言うのは東に高い森があって、低空の視界が遮られているからです。この新しい双眼鏡はある程度天体を意識して設計されたようで、視野の中央から端にかけて安定した良い星像を結びます。マルチコーティングのせいか映像は極めて明るくまたコントラストが良い。1951年秋、うしかい座に1回見ただけでその後1度も入ってこなかった、11等級で視直径3'の球状星団が50年振りに見えました。午前4時になってアンドロメダのM31が悠々と入ってきました。
 30年ほど前でしたでしょうか。5月1日の朝、6等級の新彗星がM31のそばに現れて、日本で8人ほどの独立発見者が名乗り出ました。結局「タゴ・ホンダ・ヤマモト彗星」に収まりましたが、彗星というものはある日の突然の出会いですから常に努力を怠ってはなりません。山形県の板垣公一さんや青森県の伊藤勝司さんもこの日独立発見し、実は私もこの朝見ていたのでした。
 捜索をやっていたらいろいろと昔のことを思い出すものです。例え新彗星が見つからなくても彗星の捜索ほど星空の美観を満喫できるものはありません。そうしてあせらずリラックスして励むようになったら、発見も近いのです!
[テンペル第1彗星の写真]
テンペル第1彗星 9P/Tempel 1
2005年5月2日 22時51分から7分間露出
芸西天文台60cmF3.5反射望遠鏡 TX400フィルム

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2005年05月03日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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