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コメットシーカーの怪(2)

 1966年5月、池谷薫(いけやかおる)さんと私は、天文台の冨田さんの案内で、埼玉県の堂平観測所を見学しました。その頃は空が良く南天のさそり座付近の天の川がよく見えました。
 91cm反射は多くの周期彗星の検出に活躍し、日本記録は無論世界的にも注目される活躍ぶりでした。冨田さんのほか下保さんも観測されていました。人工衛星の観測も熱心で、世界的な観測網の一環として、アメリカ製のベーカーナンシュミットカメラが配備されており、盛んに追跡が行なわれていました。
 実は私がここで見つけた奇妙な物は、そのファインダーです。口径20cmほどの屈折望遠鏡が取り付けられ(画面の右端)、カメラの案内役を勤めているのである。これぞあの幻のツァイス製のコメットシーカーの筒だったのです!トリプレットの完璧と思われるこのレンズは一体どのような星像を見せてくれたでしょうか。コメットシーカーのマウントから離れ、今はシュミットカメラのファインダーとして、立派にその役目を果たしていたのです。
 実は1961年3月、大阪でテンペル第二彗星の検出者である百済教猷氏の講演を聞く機会がありました。世界の珍しいコメットシーカーについて話されましたが、最後にツァイス製の機械について触れ、60cm屈折を購入したときついでに買わされたものだろう、と結論付けられました。しかし1949年ごろある科学雑誌に、このコメットシーカーが図解で詳しく紹介され、その頃実はこれを使う伏兵が存在したことが報じられています。
  (つづく)

ベーカーナン・シュミットカメラのファインダーとして取り付
けられたツァイス製20cmコメットシーカーの鏡筒(右端)

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2004年07月05日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

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