メイン | コメットシーカーの怪(2) »

 高知市

 高知市より西北約150Kmの十和村に星神社があります。窪川町から北に四万十川に沿ってさかのぼること2時間、所どころ沈下橋の架かる清流の絶景を眺めながら、ようやく目的地に到着しました(写真1)。
 実はこの星神社、大昔落ちてきた隕石を御神体として祀ってあると聞きます。大正年代に移築したと言う古い神社で、大きいわりには荒廃が進み神官さんもいません。鍵のかかった祭壇の中に隕石が眠っているのでしょうか?
 神殿の前の広い庭を散策している時妙なものを発見しました。それはまるで落ちてきた巨大な隕石を形どったような石塔です(写真2)。「昭和3年御大典記念」と彫りこまれた丸い石は、もしかすると明治時代に落ちたと言われる大隕石を記念し形どったものではないか?とひとり考えたりしました。関係はないでしょうが、今の土佐市で明治28年に目撃された隕石の落下方向を延長すれば、ちょうどこの上空を通ることになります。
 むかし芸西天文台の3人のメンバーで、この十和村で宿泊して天体の観測会をやった事があります。そのとき村の教育委員会「会の主催者」の話で星神社の御神体が隕石である事を知ったのです。大切にしていて一般には見せないとの事です。
 神社のすぐ前は川です。巨大な隕鉄を思わすような赤茶色の石が何かのシンボルのようにドカンと置かれていました(写真3)。
 実は村に入るまえに、ちょっとした事で道に迷い、梼原川にそった狭い山道に長く入りました。行きつ戻りつしているうちに「中ノ島公園」と書いた絶景に遭いました。狭い清流に奇岩が点在し、まるで桃源に遡ったような不思議な感じ。冷たい水の中で熊が水浴びしていても不自然でない光景。人類が初めて探検し発見したような新鮮で感動的なこの風景は、決して探して行って見られるものではない偶然の出遭いによってもたらされる事が多いのです。誰もいない美しい光と音(せせらぎの)のなかで、私はしばし時間を忘れてたたずんでいました。

(写真1) 星神社


(写真2) 星神社の記念碑


(写真3) 巨大な隕鉄を思わす石

About

2004年07月02日 23:00に投稿されたエントリーのページです。

次の投稿は「コメットシーカーの怪(2)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。