VSOLJニュース(353)
へびつかい座に新星が出現
著者:前原裕之(京都大学)
連絡先:maehara@kwasan.kyoto-u.ac.jp
へびつかい座といて座の境界近くに新たな新星が発見され、9等台にまで明るく
なっています。Brazilian Transient Search (BraTS)のC. Jacquesさん,
J. Barrosさん, E. Pimentelさん, P. Holvorcemさんらのグループは、8月8.96
日(世界時; 以下同様)に口径28cmの望遠鏡とCCDカメラを用いて撮影した画像か
ら11.1等の新天体を発見しました。この天体は発見の半日ほど前の8月8.49日に
愛知県の山本さんが撮影した画像には12.5等以下で写っておらず、発見直前に急
速に明るくなったと思われます。この天体の位置は
赤経:17時42分24.08秒
赤緯:-20度53分08.8秒 (2000.0年分点)
です。
この天体の分光観測はラ・パルマ島にある口径2mのリバプール望遠鏡で8月9日
に行なわれ、P-Cygniプロファイルを持つ水素のバルマー系列の輝線の他、中性
の酸素や窒素、一階電離した鉄やシリコンなどの輝線がみられることが分かりま
した。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが判明
しました。
発見後の観測によるとこの新星は8月10日には10等級、11日には9.5等程度まで
明るくなり、VSOLJやAAVSOなどに報告された観測データによると、13日には9等
ほどで観測されました。今後の明るさの変化が注目されます。
2018年8月14日
参考文献
CBET 4540: 20180813 : NEW NOVA IN OPHIUCHUS = PNV J17422408-2053088
Williams, S. C., et al. 2018, ATel #11928
Munari, U., et al. 2018, ATel #11940
vsolj-obs 58405
新星の画像 (清田さん)
http://meineko.sakura.ne.jp/ccd/PNV_J17422408-2053088.jpg