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投稿者 スレッド
佐藤裕久
投稿日時: 2020-12-26 0:03
モデレータ
登録日: 2005-6-12
居住地: 日本
投稿: 2559
オンライン
国立天文台 メールニュース No.223

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   国立天文台 メールニュース No.223(2020年12月25日発行)
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 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象などを、メールで
 お届けする不定期発行のニュースです。
 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

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■VERAプロジェクト20年の成果:高精度の位置天文観測
■GALAXY CRUISE:1カ月で1000個分類しようキャンペーン
■2021年の初日の出情報
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■VERAプロジェクト20年の成果:高精度の位置天文観測

 VERA(ベラ)は、天体までの距離や天体の運動を精密に計測する「位置天文
観測」のプロジェクトで、国立天文台水沢VLBI観測所と鹿児島大学の研究者を
中心に進められています。日本国内の4局(注1)の電波望遠鏡による観測を組
み合わせて得た高解像度のデータから、天の川銀河の3次元立体構造のほか、
星の形成や進化、銀河中心の超巨大ブラックホールやそこから噴き出す超高速
ジェットといった、さまざまな研究を進めています。このVERAの20年間にわた
る観測研究の成果が、10本の論文にまとめられ発表されました。

 注目すべきは、他のグループによる観測データと組み合わせて、天の川銀河
の基本的な尺度をより高い精度で決定した研究です。この結果、太陽系から天
の川銀河の中心までの距離(銀河中心距離)は2万5800光年と求められ、1985年
の国際天文学連合による勧告値(約2万7700光年)より小さくなっています。
また、天の川銀河の回転速度は太陽系の位置で秒速227キロメートルと測定でき
ました。この銀河中心距離は、2019年に発表された「いて座A*」(注2)を公
転する天体の軌道から推定された値(2万5800-2万6600光年)とよく一致して
います。
 VERAプロジェクトは、現在「いて座A*」までの距離の直接測定に挑戦してい
て、今後、天の川銀河の中心のブラックホール研究の進展への寄与が期待され
ます。また、人工衛星による位置天文観測とも協力して、さらに高い精度の位
置天文観測を推進していきます。さらに、将来の東アジアVLBIネットワークな
どへの拡張も見据えながら、新たな観測計画への発展を目指しています。

 注1:水沢(岩手県奥州市)、入来(鹿児島県薩摩川内市)、小笠原(東京
    都小笠原村父島)、石垣局(沖縄県石垣市)の4局
 注2:「いて座エースター」。天の川銀河の中心に位置する超巨大ブラック
    ホールに対応する強い電波を発する天体

 ▽VERAプロジェクト20年の成果がまとまる
  ―国立天文台水沢120年の歴史が達成した位置天文学の高精度化―
  https://www.nao.ac.jp/news/science/2020/20201126-mizusawa.html

 ▽私たちは天の川銀河のどこにいる?(Space Scoop:キッズ向けページ)
  http://www.spacescoop.org/ja/scoops/2047/si-tachihatian-nochuan-yin-he-nodokoniiru/


■GALAXY CRUISE:1カ月で1000個分類しようキャンペーン

 「GALAXY CRUISE(ギャラクシークルーズ)」は、市民の力を借りて、すば
る望遠鏡が捉えた多数の銀河の形を調べ分類を進める「市民天文学」(注)
プロジェクトです。
 広大な範囲にわたって観測した画像には、他の銀河とすれ違ったり衝突した
りした際に、形が大きく変わってしまった「衝突銀河」が多数写っています。
その形の特徴を調べ、こういった衝突銀河がどのくらいあるかを数えることは、
銀河の生い立ちをひも解き、その多様性の謎に迫ることにつながります。しか
し、観測画像に写っている銀河の数はあまりにも多いため、市民の力を借りて
分類を進めているのです。
 2019年11月に日本語サイトを、2020年2月に英語サイトを公開した「GALAXY 
CRUISE」ですが、2020年12月24日現在で、80の国と地域から5952名(うち日本
は4876名)の参加登録があり、銀河の分類総件数は108万を超えています。

 現在、銀河の分類を集中的に進めることを目的に、「1カ月で1000個分類し
ようキャンペーン」を開催中です。キャンペーン期間は2020年12月12日から
2021年1月11日までのおよそ1カ月間です。この期間に分類を進めた方には、
特別なプレゼントをご用意しています。
 年末年始休暇や冬休みの期間中には、ぜひこのキャンペーンにご参加いただ
き、天文学者と一緒に銀河の謎に挑戦してみましょう。

 注:市民が研究者・研究機関と共に行う科学的活動を「シチズンサイエンス
   (citizen science)」と呼びます。「市民天文学」はその天文学の活動
   の日本語名称として、国立天文台が独自に考案したものです

 ▽国立天文台 メールニュース No.212(2019年12月27日発行)
 「GALAXY CRUISE」で銀河の謎を解く旅に出よう」
  https://www.nao.ac.jp/mailnews/data/0212.html

 ▽年末年始「1カ月で1000個分類しようキャンペーン」12月12日スタート!
  https://galaxycruise.mtk.nao.ac.jp/announcements/20201125j.html

 ▽あなたも天文学者! 研究者とともに銀河の謎に挑戦
  「GALAXY CRUISE」サイトを公開
  https://www.nao.ac.jp/news/topics/2019/20191101-prc.html


■2021年の初日の出情報

 新しい年を迎えるにあたり、各地の初日の出の情報を国立天文台ウェブサイ
トに掲載しています。都道府県庁所在地のほか、富士山頂や犬吠埼といったお
問い合わせが多い場所について、初日の出の時刻や方位角等を公開しています。
 また、暦計算室の「2021年 初日の出情報」では、市町村名等から初日の出
の時刻と方位角が計算できます。どうぞご利用ください。

 ▽ほしぞら情報 初日の出情報(2021年)
  https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2021/01-topics01.html

 ▽国立天文台 天文情報センター 暦計算室
  2021年 初日の出情報
  https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2020年12月25日

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