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芸西天文台通信<2007年11月30日号>


ホームズ彗星の眼視観測

 11月最後の日付けでの観測です。
 ホームズ彗星は、かなり暗くなって、肉眼では見難いのではないか?と心配しておりましたが、天文台へ到着してから、東北の低空を視るや、いきなり大きな天体が視界に入りました。依然ペルセウス座のアルファ星の近くですが、大きな霧の塊のような不気味な姿です。一見暗くなったように見えますが、これはコマの拡散が進み、その様に感ずるだけで、コマ全体の光を集めると、全光度はそれほど落ちてなく11月30.45UTの観測では、肉眼で3.4等、視直径43分角と目測しました。
 コマが拡散して一頃より、肉眼で発見しやすくなりました。もっともこの後で10x70の双眼鏡を使っての観測では3.3等と出ましたが、当然0.3等くらいの誤差は見込まれます。
 例によって20cm F12の屈折60xで覗くと、一見してコマは暗くなり、従来のような輪郭がぼやけてくっきりしなくなっていました。しかしコマの直径は断然大きくなって、視野(実視野40′)の2/3はしめています。そして中心核は少しぼやけて、眼視では確認しにくくなり、12等くらいでしょうか。
 しかし60cm反射や21cmのイプシロンではちゃんと写っています。彗星自体がもし自ら発光しているとすれば、太陽から遠くなっても日心距離の変化にあまり関係なく、明るさは地球との距離関係ですから地心距離が余り変化しない限り、光度はそれほど落ちないかもしれません。
 常識を遥かに打ち破る突然の大増光といい、形状や色の変化といい、コマ内部の模様の変化といい、実に謎の多い彗星でしたが、これらの観測結果から、物理的な研究が進められて行くことに期待したいと思います。
 この日は60cm反射と21cm F3.0のイプシロンとで写真を撮りました。もし結果が面白ければこのページに追加したいと思っています。


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