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芸西天文台通信<2007年5月12日号>


NGC 4477の不明な天体

 今の芸西では60cm反射鏡による彗星と小惑星のパトロールを続けています。
 ところが5月11日の夜半撮影したフィルムにたまたまNGC 4477の銀河が写っておりその星霧の中に17等級の恒星状の光をみました。普通だったら見逃すのですが銀河の中ですから、念のために5月8日に撮った写真を見てみましたが、それらしい天体は写っていませんでした。普通なら超新星の出現かと思うのですが、実はその後の13日に写した写真にも写りませんでした。しからば、その正体は何でしょうか。
 光体の様子から、ただのキズや埃の類でないことはわかります。MPCが発表している既知の小惑星でこの時刻にここを通った小惑星はないことも確認しました。まさか17等という明るい新小惑星が見つかった訳でもありますまい。今は19等よりも明るい新小惑星は極めて少数と思われます。観測の位置と写真は下のようです。
Object Seki                                           
2007UT           RA (2000.0)  Decl.        mv         
May 11.58160  12 30 03.73  +13 37 38.0    17.5     372

NGC 4477 (おとめ座の銀河)
2007年5月11日 22時55分から11分露出
60cm F3.5反射 TMY400フィルム

 天体写真は必ず2枚撮るのが鉄則です。2枚撮らなくても1枚に時間を空けて二重露出を行えば、その天体の存在が明確になりますし、もし太陽系の天体ならばモーションが判然とします。時間を惜しんで1枚しか撮らなかったところに心の緩みがありました。
今後心に銘記しておきましょう。

C/2007 E2 (Lovejoy)

 さていま北空に見えている彗星C/2007 E2 (Lovejoy)は少し暗くなりました。5月13日の夜半前に20cm屈折30xで覗いたところ10.5等星で、コマは3′位に小さくなりました。
もっともこの晩は黄砂があって透明度の低い状況でした。良い条件の夜にまた報告します。


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