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芸西天文台通信<2004年6月11日号>


 台風4号が室戸岬付近に上陸しましたが、雨こそ降れ風は大した事はありませんでした。夕刻から早くも晴れ始めたので、急遽天文台に走りました。さすが雲の多い天気でしたが、西南のC/2002 T7(LINEAR)と、西北のC/2001 Q4(NEAT)を20cmで見る事ができました。
 C/2002 T7(LINEAR)は、60xで9.5等D=4’。尾はほとんど見えません。
 C/2001 Q4(NEAT)の方は、位置が高いので、とても鮮明に見えました。7等でコマは8’くらいでしょうか。尾は明らかに引いているのですが、やはり淡いです。
 その後22時頃から雲が増し、23時に帰宅しました。そろそろ月が小さくなりましたので、次は夜半から明け方にかけて観測します。

 ブラッドフィールドさんの彗星は、まだ20cmで見えるでしょうか。C/2004 F4(Bradfield)は、クロイツ族の彗星を探していて発見したそうです。写真は彼が1989年、芸西にある私の観測所へ来た時のものですが、1965年のイケヤ・セキ彗星を発見した8.5cmのコメットシーカーを特に興味深そうに見ておられました。この星が出たとき、彼は別の事をしており、特に関心はなかったそうです。でもいつかはこのグループの星に巡り合いたい、と言う意欲が今回の彗星の発見につながったものでしょう。クロイツ属は南でよく見えますね。

 1965年10月、ネパールのカトマンズでは国王も参列して彗星の厄除け祭をやったそうです(NHK TV)。

 余談ですがこの8.5cmレンズを磨いた滋賀県の名工、苗村敬夫(なむら たかお)さんが5年ほど前に私の家を訪ね、実に40年振りにレンズと対面されました。優秀なレンズ有っての発見だったと、今でも確信を持っています。


芸西天文台でのブラッドフィールド氏(1989年)




Copyright (C) 2004 Tsutomu Seki. (関勉)