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国立天文台 メールニュース No.240 (2022年11月4日発行)
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国立天文台の研究成果やイベント、注目したい天文現象などを、メールでお届けする
不定期発行のニュースです。どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。
◇もくじ-------------------
・研究成果:中性子星の合体で合成されたレアアースを初めて特定
・話題:家正則名誉教授が瑞宝重光章を受章
・天文現象:皆既月食が全国で見られます(11月8日)
・天文現象:月食中に起こる天王星食(11月8日)
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▼研究成果
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■中性子星の合体で合成されたレアアースを初めて特定
金やプラチナ、レアアースなどの重元素の起源として有力視されているのが「中性
子星」と呼ばれる高密度の天体同士の衝突現象です。
連星系を成している2つ以上の中性子星同士が衝突・合体する際、中性子星の一部が
宇宙空間に吹き飛ばされ、その中で金やプラチナ、レアアースなどの重元素が合成さ
れると考えられています。このとき、重力波が発生し、可視光線から赤外線にかけて
の電磁波が放射される現象が起こります。
2017年8月、中性子星同士の合体で発生した重力波「GW170817」がアメリカ、ヨー
ロッパの重力波望遠鏡で検出され、さらにその直後から、すばる望遠鏡などの観測に
より、電磁波の放射が確認されました。しかし、このときに作られた元素の種類や
量は分かりませんでした。
中性子星の衝突・合体によってどの種類のレアアースが作られたのか。国立天文
台の天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイII」を使ったシミュレーションから、
今回初めてそれを特定することに成功しました。
(2022年10月27日発表)
▽中性子星の合体で合成されたレアアースを初めて特定
https://www.cfca.nao.ac.jp/pr/20221027
▼話題
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■家正則名誉教授が瑞宝重光章を受章
国立天文台の家正則(いえまさのり)名誉教授が、令和4年秋の叙勲にて「瑞宝重
光章(ずいほうじゅうこうしょう)」を受章しました。
家氏は、すばる望遠鏡をハワイ島に建設する計画に貢献し、特に望遠鏡の主鏡を
コンピュータ制御で理想的な形に保つ「能動光学」を提唱しました。初期宇宙の観
測に力を注ぎ、すばる望遠鏡による観測で、2006年に当時最遠の130億光年離れた銀
河を検出しました。また、大気のゆらぎによる星像の乱れを克服する「補償光学」の
機能を持つ装置を開発し、すばる望遠鏡の視力を10倍に向上させることにも貢献しま
した。
国際協力の下で進めている次世代超大型望遠鏡TMT計画の推進にも注力し、TMT国際
天文台の評議員会の副議長および日本代表も務めました。現在も、宇宙史の解明に向
けた精力的な研究を続けています。
家氏は、天文学研究の功績により、平成23年秋の叙勲において紫綬褒章(しじゅほ
うしょう)を受章しています。また、2020年には、日本学士院会員に選定されていま
す。
▽令和4年秋の叙勲等(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shokun/hatsurei/r04aki.html
▼天文現象
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■皆既月食が全国で見られます(11月8日)
11月8日の夜、満月が地球の影に隠される皆既月食が起こり、日本全国で観察する
ことができます。部分月食が始まる頃、南西諸島では月の高度が低く観察しづらい
ですが、皆既食になる頃には観察しやすい高度になります。
食の予報は次のとおりで、各地とも同じ時刻です。
部分食の始まり 18時9分
皆既食の始まり 19時16分
食の最大 19時59分
皆既食の終わり 20時42分
部分食の終わり 21時49分
皆既食の時間が1時間26分と比較的長いことが、今回の皆既月食の特徴です。皆既
中の月は真っ暗にはならず「赤銅色(しゃくどういろ)」とも呼ばれる赤黒い色に見
えます。皆既中の月の色の変化に注目しながら、皆既月食を楽しみましょう。
今回の月食の見え方について、YouTube国立天文台チャンネルで紹介しています。
また当日は、月食の様子のライブ配信を予定しています(注)。ぜひご覧ください。
注:ライブ配信は、天候やその他の状況により、予告なく中止・中断する可能性が
あります。あらかじめご了承ください。
▽ほしぞら情報:皆既月食・天王星食(2022年11月)
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2022/11-topics02.html
▽2022年11月の星空情報(広報ブログ)
https://www.nao.ac.jp/news/blog/2022/20221031-astro.html
▽YouTube国立天文台チャンネル
https://www.youtube.com/user/naojchannel
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■月食中に起こる天王星食(11月8日)
11月8日夜の月食のあいだに、月が天王星を隠す「天王星食」が起こります。小笠
原諸島を除く日本のほとんどで見られる現象です。特に、関東以西では皆既中の月に
天王星が隠される様子を観察することができます。
天王星の明るさはおよそ6等級ですから、ふだんは肉眼で見つけるのは難しい明る
さです。しかし、このときは皆既中で暗くなった月の近くに双眼鏡や望遠鏡を向ける
と、比較的簡単に天王星を見つけることができるかもしれません。
天王星が月に隠される時刻は地域によって異なります。皆既月食中に天王星を見つ
けて、月に隠されていく様子に注目してみてください。天王星食の時刻は、国立天文
台ウェブサイトの「星空情報」や、国立天文台暦計算室の「惑星食各地予報」をご覧
ください。
▽ほしぞら情報:皆既月食・天王星食(2022年11月)
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2022/11-topics02.html
▽国立天文台 暦計算室
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/
◇編集後記-----------------
日の入り後の空に懸かる月が、日に日に満ちていくさまを眺めていると、いよいよ月
食の日が近づいてきたなとわくわくしてきます。8日夜は全国的に晴れて皆既月食を見
ることができますように。天王星食もとても楽しみです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2022年11月4日