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佐藤裕久
投稿日時: 2018-9-7 15:25
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登録日: 2005-6-12
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投稿: 2505
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国立天文台 メールニュース No.195

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   国立天文台 メールニュース No.195  (2018年9月7日発行)
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■暴走するモンスター銀河をアルマ望遠鏡で捉えた
■明らかになった大質量星の最期の姿―厚いガスに包まれた星の終末
■第26回 自然科学研究機構シンポジウム
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■暴走するモンスター銀河をアルマ望遠鏡で捉えた

 初期の宇宙では、私たちが住む天の川銀河の1000倍もの猛烈な勢いで星が作
り出される銀河が存在していました。こういった銀河は「モンスター銀河」と
呼ばれます。なぜこのように猛烈な勢いで星形成が起こっている銀河が存在す
るのか、その理由はまだ明らかになっていません。

 国立天文台の研究者を中心とする研究チームは、124億光年の距離にあるモ
ンスター銀河「COSMOS-AzTEC-1」をアルマ望遠鏡で観測しました。これまでの
観測で、この銀河には大量の分子ガスが含まれていて、猛烈な勢いで星形成が
起こっていることが分かっていました。研究チームは、高い感度と解像力を持
つアルマ望遠鏡を用いてこの遠方のモンスター銀河内の分子ガスを観測し、そ
の分布を詳細に描き出すことに成功しました。さらに、銀河内で分子ガス雲が
潰れようとする重力と、分子ガス雲を支えようと外側に働く圧力を比べて、重
力のほうが大きいことを明らかにしました。このために、大量の分子ガスが一
気に潰れて星形成の暴走が起こっているのです。モンスター銀河のこういった
性質が明らかになったのは、今回が初めてです。
 なぜモンスター銀河「COSMOS-AzTEC-1」の中では、このように重力が大きい
状態になっているのでしょうか。一つの可能性として、この銀河が近い過去に
銀河衝突を経験していたことが考えられます。大量の分子ガスを持つ銀河同士
が衝突した際に、分子ガスが狭い範囲に押し込まれて、その結果暴走的な星形
成が起こったのです。しかし、その証拠はまだ見つかっていません。
 今後、アルマ望遠鏡を使ってより多くのモンスター銀河をより詳細に観測す
ることで、モンスター銀河と銀河衝突との関係を明らかにできるかもしれませ
ん。

 ▽124億光年かなたで暴走するモンスター銀河
  −遠方爆発的星形成銀河におけるもっとも詳細な星の材料の分布
  https://alma-telescope.jp/news/press/aztecone-201808


■明らかになった大質量星の最期の姿―厚いガスに包まれた星の終末

 大質量星が一生の最期に起こす超新星爆発。その爆発直前の星が大量のガス
を放出していることが明らかになりました。これまでの標準的な星の進化の理
論では考えられていなかったことです。爆発直前に星から放出された厚いガス
に包まれた超新星爆発のシミュレーションと、爆発直後の超新星を多数観測し
たデータとの詳細な比較の結果、星の進化の最終段階に新たな知見が加わった
のです。

 超新星爆発の直後には「ショックブレイクアウト」という現象により、星が
急激に増光すると予測されています。爆発直前の星の構造を詳しく解明するた
め、このショックブレイクアウトを捉えようとする観測が世界的に行われてい
ます。しかし、増光の継続時間が数時間とたいへん短いために観測することが
難しく、この現象についての理解はほとんど進んでいません。
 チリ大学の研究者らは、これまでにない多数の爆発直後の超新星を観測する
ことに成功したにも関わらず、予測されていたショックブレイクアウトによる
増光を確認することはできませんでした。一方で、観測されたほとんどの超新
星の光度変化が、理論的に予測されているよりも早く明るくなっていることが
分かったのです。このような超新星は過去にもいくつか観測されていましたが、
これほど多く観測されたのは予想外のことでした。
 超新星が従来の理論予測よりも早く明るくなるのは、爆発の直前に星から放
出された厚いガスに取り囲まれていることが原因であると考えられます。そこ
で、厚いガスに囲まれた超新星がどのように光るのかシミュレーションを行い、
観測データと詳細に比較しました。その結果、爆発直前の星のごく近傍に、き
わめて高密度のガスが存在する場合に、今回の観測結果をよく再現できること
が分かったのです。この結果は、超新星爆発直前の星が何らかの理由で多くの
ガスを放出していることを示しています。今回の研究で、星の進化の最終段階
の新たな姿が描き出されたのです。

 ▽明らかになった大質量星の最期の姿 ― 厚いガスに包まれた星の終焉
  https://www.nao.ac.jp/news/science/2018/20180904-sbo.html


■第26回 自然科学研究機構シンポジウム

 第26回 自然科学研究機構シンポジウムを、来る9月30日に東京国際交流館 
(東京都江東区) にて開催いたします。今回のテーマは「“超越”への“挑戦”
〜科学技術によって人類はどのように壁を乗り越えるのか?〜」です。科学の
第一線で活躍する研究者による5つの講演会のほか、自然科学研究機構の研究
所についてパネル展示で紹介します。プログラム等の詳細は自然科学研究機構
シンポジウムのウェブサイトをご覧ください。
 多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 開催概要
 テーマ:“超越”への“挑戦”
     〜科学技術によって人類はどのように壁を乗り越えるのか?〜
 日時:2018年9月30日 (日) 12:50-16:40 (開場 12:00)
 会場:東京国際交流館 (プラザ平成3階)  国際交流会議場 
    (東京都江東区青海2-2-1 国際研究交流大学村内)
    https://www.jasso.go.jp/ryugaku/kyoten/tiec/access.html
 主催:大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 参加費:無料
 参加方法:
  事前のお申し込みが必要です (定員400名、先着順)
  定員に達し次第、参加のお申し込みを終了します
 内容:自然科学研究機構シンポジウムのウェブサイトをご覧ください
 その他:当日は講演のインターネットライブ配信を予定しています

 ▽第26回 自然科学研究機構シンポジウム (自然科学研究機構)
  https://www.nins.jp/site/connection/sympo26.html


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2018年9月7日

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 » 国立天文台 メールニュース No.195 佐藤裕久 2018-9-7 15:25

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