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佐藤裕久
投稿日時: 2018-4-25 22:54
モデレータ
登録日: 2005-6-12
居住地: 日本
投稿: 2503
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国立天文台 メールニュース No.190

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   国立天文台 メールニュース No.190  (2018年4月25日発行)
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 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象などを、メールで
 お届けする不定期発行のニュースです。
 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

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■石川氏と秦氏が文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞
■教育関係団体のための施設案内週間[野辺山]
■今年の夏は火星に注目
■全国高校生火星観測会
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■石川氏と秦氏が文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

 平成30年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を、国立天文台 
SOLAR-C準備室の石川遼子 (いしかわりょうこ) 助教と水沢VLBI観測所の
秦 和弘 (はだかずひろ) 助教が受賞しました。

 石川氏は「飛翔体観測装置を駆使した太陽磁場に関する観測的研究」の業績
が受賞対象となりました。
 太陽物理学で未解決の課題の一つに「彩層・コロナ加熱問題」 (注) があり、
この解明には太陽磁場の詳しい観測が必要とされています。石川氏は、太陽観
測衛星「ひので」による観測から、通常の黒点磁場とは異なる生成起源を持つ
「短寿命水平磁場」が太陽の全面に存在することを発見し、この磁場が持つエ
ネルギーがコロナ加熱をまかなうのに十分な量であることを示しました。また、
観測ロケットを用いた国際共同実験で、太陽の彩層・遷移層の紫外線域での偏
光分光観測を宇宙空間から行うことに成功し、この手法が太陽磁場を測定する
ための新たな手法として有効であることを改めて示しました。

 秦氏は「高解像度電波観測による巨大ブラックホールジェットの研究」の業
績が受賞対象となりました。
 巨大ブラックホールからのジェットの放射は、銀河サイズを超えて大きく広
がる大規模な天体現象です。秦氏は、超長基線電波干渉計 (VLBI) を用いて、
銀河のブラックホールジェットの詳細な観測研究を行ってきました。特に、
M87銀河のブラックホールジェットをこれまでで最も高い分解能で観測するこ
とに成功し、ジェットの根元の位置を精密に測定して、ブラックホールの位置
と電波で見えるジェットの構造との関係を解明しました。また、ジェットの形
状の詳細な観測から、その加速・収束機構を推測することに成功しました。

 文部科学大臣表彰 若手科学者賞は、萌芽的研究、独創的視点に立った研究
等で、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた若手研究者を表彰す
るものです。表彰式は、2018年4月17日に文部科学省 (東京都千代田区) にて
執り行われました。

 注:太陽の表面は約6000度、その上空の彩層は約1万度、さらに上空にある
   コロナは100万度以上の温度である。太陽内部から表面に至るまでに下
   がった温度が、なぜ上層の彩層やコロナで再び高温になるのか、彩層や
   コロナはどのような機構で加熱されているのか、という疑問は解決され
   ておらず、これを「彩層・コロナ加熱問題」と呼んでいる。

 ▽平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について
  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/04/1403097.htm

 ▽石川氏と秦氏が文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞
  https://www.nao.ac.jp/news/topics/2018/20180419-award.html


■教育関係団体のための施設案内週間[野辺山]

 国立天文台野辺山宇宙電波観測所は、教育関係団体を対象とした夏休み期間
中の「施設案内週間」を2013年より設けています。観測所内の最先端の観測装
置や最新の研究成果を、観測所の研究者や技術者による案内の下で見学してい
ただきます。
 今年度の実施期間は7月23日から7月27日の5日間です。案内をご希望の方は
実施の1週間前までのお申し込みが必要です (先着順で受け入れます)。対象と
なる団体や人数、お申し込み方法などの詳細は、ウェブサイトをご覧ください。
 なお、ご案内のコースは、通常も事前予約なしで自由に見学することがで
きます。

 ▽教育関係団体のための施設案内週間2018 (国立天文台野辺山宇宙電波観測所)
  http://www.nro.nao.ac.jp/visit/guideweek.html

 ▽通常の公開 (一般公開) (国立天文台野辺山宇宙電波観測所)
  http://www.nro.nao.ac.jp/visit/ippan.html


■今年の夏は火星に注目

 太陽系の惑星の一つである火星は、地球よりも外側の軌道を約1年11カ月か
けて公転しています。地球と火星との距離が近づく周期 (会合周期) は約2年
2カ月ですが、会合のたびに2つの惑星間の距離は大きく変化します。2018年夏
には地球と火星の会合が起こり、7月31日 (日本時間、以下同じ) に2つの惑星
が最も近づきます。そのときの距離は約5,759万キロメートルで、最接近時の
距離が6,000万キロメートルを切るのは2003年8月27日 (約5,576万キロメート
ル) 以来15年ぶりとなります。
 最接近時の火星はマイナス2.8等級とたいへん明るく、また見かけの大きさ
も比較的大きく (視直径24.3秒角) なるため、望遠鏡で観察しやすくなります。
 火星は、4月現在いて座方向にあり深夜に東の空に昇ってきます。最接近の
7月31日前後にはやぎ座方向にあり、日の入り後に東の空に昇り深夜に南の空
で見ることができます。夏の間はもちろんのこと、今年いっぱいは日の入り後
の南の空で火星が観察しやすい状態が続きます。今年はぜひ火星に注目をして
ください。
 国立天文台三鷹キャンパスの定例観望会では、8月25日、9月7日、9月22日に
50センチ公開望遠鏡での火星の観察を予定しています。

 ▽基礎知識:火星の接近
  https://www.nao.ac.jp/astro/basic/mars-approach.html

 ▽特集:火星大接近2018
  https://www.nao.ac.jp/astro/feature/mars2018/

 ▽国立天文台三鷹 定例観望会
  https://prc.nao.ac.jp/stargazing/


■全国高校生火星観測会

 「高校生天体観測ネットワーク (Astro-HS)」 (運営委員長:渡部潤一 国立
天文台教授) は、大出現が予想された1998年のしし座流星群を機にスタートし
ました。全国各地から参加する高校生グループとその指導者、その活動を積極
的に支援する運営グループによって構成され、毎年設定されるテーマに沿って
活動します。天体観測データや結果がグループ間で共有されるだけでなく、参
加グループ同士の意見交換や交流の機会も積極的に設けてきました。過去20年
間で、このネットワークに参加した高校生はのべ数万人に上ります。
 2018年夏は、2003年以来15年ぶりに火星が地球に大接近します。今年はこの
火星をテーマとした「全国高校生火星観測会」を開催します。実際の火星を望
遠鏡を使って自分の目で見ること、学校や地域で観望会を開催すること、公開
天文台と火星の観測データを交換し科学的な解析を行うことを目標とします。
参加対象は、高等学校、高等専門学校の授業および課外活動、もしくは指導者
がいる高校生グループです。「全国高校生火星観測会」の内容の詳細、および
参加登録の方法や締め切りについては、ウェブサイトでご確認ください。
 今年もこの観察会を通じて、高校生同士、そして公開天文台のつながりが深
まり、研究者との交流の機会が広がることが期待されます。

 ▽Astro-HS 高校生天体観測ネットワーク
  https://astro-hs.sakura.ne.jp/

 ▽全国高校生火星観測会<Mars'18>
  https://astro-hs.sakura.ne.jp/archives/413


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2018年4月25日

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 » 国立天文台 メールニュース No.190 佐藤裕久 2018-4-25 22:54

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