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佐藤裕久
投稿日時: 2017-12-11 13:38
モデレータ
登録日: 2005-6-12
居住地: 日本
投稿: 2503
オンライン
国立天文台 メールニュース No.182

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   国立天文台 メールニュース No.182  (2017年12月11日発行)
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 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象などを、メールで
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■110億年前の銀河から探る銀河の形状進化
■理科年表 平成30年 刊行
■12月13日の夜を中心にふたご座流星群が活発に
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■110億年前の銀河から探る銀河の形状進化

 宇宙には数多くの銀河が存在しています。その形状は銀河ごとに異なります
が、大きく「円盤型」と「楕円型」の二つに分類できます。我々の天の川銀河
は、渦巻き状の腕が円盤を形づくる円盤型の銀河に分類されます。現在知られ
ている巨大銀河はほとんどが楕円型でありながら、古い時代の銀河を観測する
とその多くが円盤型であることが知られています。銀河の形状はどのように決
まるのか、銀河はどのように進化してその形状を変えてきたのかは、たいへん
興味深い問題です。
 銀河の進化と形状については、「円盤型の銀河同士が衝突合体し楕円型の銀
河に進化する」という銀河の衝突合体説が定説になっています。国立天文台ほ
かの研究者から成る研究チームは、およそ110億年前に形成され合体の兆候が
見られない複数の円盤型銀河をアルマ望遠鏡を用いて調べました。その結果、
銀河の中心部では爆発的な星形成が起こっていることが明らかになりました。
その星形成は銀河の形を変えるほど激しいものだったのです。今回の研究結果
は、銀河は衝突合体を経ることなく円盤型から楕円型へと銀河の形状を変える、
衝突合体説とは別の進化があったという証拠になります。
 研究チームは、解析の対象とする銀河をすばる望遠鏡で探した後に、ハッブ
ル宇宙望遠鏡による観測から銀河の形状を調べ、アルマ望遠鏡を使った観測で
星形成が銀河のどこでどのような規模で進んでいるかを調べました。このよう
に、近赤外線での観測と電波での観測の両方を駆使し、観測結果を組み合わせ
解析することで、新たな銀河進化を導き出したことは、今回の研究の新しい点
です。

 ▽銀河の形を運命づけた110億年前の転換現象
  〜すばる×ハッブル×アルマの最強タッグで完全解剖〜
  https://alma-telescope.jp/news/press/galactic_metamorphosis-201709


■理科年表 平成30年 刊行

 「理科年表」 (国立天文台 編) は、暦、天文、気象、物理/化学、地学、
生物、環境の7部門からなる科学全般を網羅したデータブックです。その平成
30年版が刊行されました。

 暦部では、火星の大接近と小接近が起こるしくみについてトピックスで解説
しています。
 天文部のトピックスでは、二つの話題を採り上げています。「太陽系に最も
近い恒星を周回する地球型惑星の発見」として、地球からの距離もサイズも、
またハビタブルゾーンに位置するという点でも“地球に近い”太陽系外惑星の
発見について解説しています。もう一つの「氷衛星 Enceladus と Europa の
地下海の発見」では、衛星表面の分厚い氷の下に生命も誕生しうる熱い海が見
つかったことを紹介しています。地球以外の惑星や衛星に生命は存在するのか、
今後の研究の展開が期待されます。
 物理/化学部では、アジア初の快挙として話題となった113番元素「ニホニ
ウム」を含む4元素を新たに掲載しています。地学部でも、西暦416年から現在
に至る「日本付近のおもな被害地震年代表」を全面的に見直しました。また、
生物部のトピックス「ウイルスとウイルス感染症」では、ウイルスと細菌の違
い、ウイルスの増殖メカニズムやワクチンなどについて解説しています。環境
部では、環境省レッドリスト2017の内容を反映し、海洋生物レッドリストも追
加しました。

 理科年表は多数の研究機関の協力の下に国立天文台が編さんする、日本で最
も信頼されている「自然界の辞典」です。大正14 (1925) 年に創刊されました
が、第2次世界大戦中に休刊していた時期があり、今号が第91冊となります。
創刊号から最新号までのデータを集録した『理科年表プレミアム 個人版』も
ぜひご利用ください。

 理科年表オフィシャルサイトでは、これまでのトピックスやその後日談を順
次掲載しております。また、環境データに特化した『環境年表』を授業に活用
できるワークシートの提供も始めました。こちらも併せてご利用ください。

 ▽理科年表オフィシャルサイト
  http://www.rikanenpyo.jp/


■12月13日の夜を中心にふたご座流星群が活発に

 毎年12月13日から14日頃を中心に、三大流星群の一つである「ふたご座流星
群」の出現が活発になります。
 今年は12月13日の夜を中心に、流星が多く出現すると予想されています。最
も多いときで1時間当たり40個程度の流星を見ることができるかもしれません。
流星群の出現は13日の前後の夜も比較的活発で、普段よりずっと多くの流星を
見ることができるはずです。いずれの夜も、20時以降、なるべく夜半過ぎの時
間帯に観察するとよいでしょう。観察する方角はどちらでも構いません。でき
るだけ空を広く見渡せる場所で観察してください。
 今年のふたご座流星群についての詳しい解説は、国立天文台ウェブサイトの
「ふたご座流星群が極大」をご覧ください。

 国立天文台では、ふたご座流星群を観察し見えた流星の個数などを報告して
いただくキャンペーン「ふたご座流星群を眺めよう 2017」を実施します。観
察期間は12月12日夜から12月15日朝までです。キャンペーンウェブサイトでは
観察報告を受け付けるほか、観察のポイントやふたご座流星群の流星かどうか
の見分け方なども紹介しています。このサイトを参考にして、ぜひ流星群を観
察して報告をお送りください。キャンペーンにご参加いただいた方には抽選で
プレゼントをお贈りする予定です。

 ▽ほしぞら情報2017 ふたご座流星群が極大 (2017年12月)
    https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2017/12-topics02.html

 ▽ふたご座流星群キャンペーン「ふたご座流星群を眺めよう 2017」
    https://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/201712-geminids/


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2017年12月11日
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 » 国立天文台 メールニュース No.182 佐藤裕久 2017-12-11 13:38

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