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     国立天文台 メールニュース No.205
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佐藤裕久
投稿日時: 2019-5-17 21:55
モデレータ
登録日: 2005-6-12
居住地: 日本
投稿: 2503
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国立天文台 メールニュース No.205

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   国立天文台 メールニュース No.205  (2019年5月17日発行)
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■星の重元素が語る天の川銀河の合体史
■国際天文学連合100年を記念するシンポジウムを開催
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■星の重元素が語る天の川銀河の合体史

 特異な元素組成を持つ恒星が、すばる望遠鏡による観測で発見されました。
その組成の特徴から、恒星は天の川銀河で生まれたのではなく、天の川銀河の
周囲に多く存在する矮小 (わいしょう) 銀河と呼ばれる小さな銀河の一つで生
まれたもので、後にその矮小銀河が天の川銀河と合体した結果、天の川銀河の
一員となったと考えられます。今回の観測結果は、天の川銀河のような大きな
銀河が、小さな銀河との衝突・合体を繰り返して成長してきたという銀河形成
のシナリオを裏付けるものです。

 国立天文台、中国国家天文台などの研究者から成る研究チームは、中国の分
光探査望遠鏡を用いた観測から選び出した恒星を、すばる望遠鏡に搭載した高
分散分光器で詳細に観測するという研究を2014年から続けています。
 研究チームは、これまでにすばる望遠鏡で観測した400個を超える恒星の中
に、たいへん特異な元素組成の恒星を発見しました。この恒星に含まれる重元
素の組成比には、天の川銀河に存在する多くの恒星とは異なる特徴が見られる
のです。このような特異な組成を持つ恒星が天の川銀河で見つかったのは、初
めてのことです。
 一方で、同様の特徴を持つ恒星は、これまでに天の川銀河を取り巻く矮小銀
河でいくつか見つかっています。矮小銀河は、宇宙における銀河形成の過程で
比較的初期に作られたことが分かっています。また、矮小銀河では恒星の形成
が比較的ゆっくり進むことから、恒星に含まれる重元素の組成には天の川銀河
とは異なる特徴があることも知られています。
 これらのことから、今回見つかった特異な元素組成の恒星は、矮小銀河の中
で誕生したものの、後にその母体である矮小銀河が天の川銀河と衝突・合体し、
その結果、天の川銀河の一員となったと考えることができるのです。
 天の川銀河のような大きな銀河は、周囲にある小さな銀河との衝突・合体を
何度も繰り返して成長してきました。恒星の元素組成を調べることは、その恒
星が誕生し進化した環境の推定につながるとともに、天の川銀河の成長の歴史
を研究していく手掛かりにもなるのです。

 ▽星の重元素が語る天の川銀河の合体史
  https://subarutelescope.org/Pressrelease/2019/04/29/j_index.html


■国際天文学連合100年を記念するシンポジウムを開催

 国際天文学連合 (IAU) は今年2019年で創立100年になります。IAU創立100周
年の今年は、世界各国の天文コミュニティの間で100年を記念する多彩な事業
が予定されています。1919年のIAU創立時の7カ国の一つである日本でも、IAU
100年を記念する事業がいくつか予定されていますが、その一つとして、来る
5月27日、28日に記念シンポジウムを開催します。
 天文学に携わる研究者や教育者、天文学と人々をつなぐ活動に参加している
市民、その活動に関心を持つ市民、天文学や科学の教育普及活動を支える人々、
メディアの人々など、さまざまな方面からのご参加をお待ちしています。

開催概要
 タイトル:天文学の100年:過去から未来へ
      ―国際天文学連合100年記念シンポジウム
 日時:2019年5月27日 (月) 13:00-17:00
       5月28日 (火) 10:00-17:00
 会場:国立科学博物館 上野本館 日本館2階・講堂
    (東京都台東区上野公園7-20)
    http://www.kahaku.go.jp/userguide/access/index.html
 主催:日本学術会議 物理学委員会 天文学・宇宙物理学分科会/IAU分科会
 共催:日本天文学会、自然科学研究機構 国立天文台、
    宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所
 後援:日本天文協議会
 参加費:無料
 定員:100名 (事前申し込み不要、当日先着順)
 内容:
  第1日目 (第一部) :5月27日 (月)
   1. はじめに 13:00-13:20
   2. 日本の天文学の発展:これまでの100年とこれから 13:20-15:00
   3. 市民の天文学 15:20-16:20
   4. 社会とつながる天文学 16:20-16:50
  第2日目 (第二部) :5月28日 (火)
   1. 分野を超えて広がる学問 10:00-10:30
   2. 科学で夢を育てる 10:30-11:30
   3. 天文学と地域社会とのつながり 13:10-14:10
   4. 学術コミュニティと大型望遠鏡・共同利用、国際連携 14:10-14:40
   5. 新時代の国際共同を見通す 14:40-15:25
   6. 日本の長期的な学術政策と天文学の未来のために:
     全体討論 15:50-16:50
   7.まとめ 16:50-17:00

 講演内容等の詳細はウェブサイトをご覧ください。

 ▽天文学の100年:過去から未来へ ―国際天文学連合100年記念シンポジウム
  http://www.astronomy2009.jp/fswiki/wiki.cgi/astroconf/IAU100symp


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2019年5月17日

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