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国立天文台 メールニュース No.184 (2018年1月19日発行)
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もくじ
■衛星銀河の合体が超巨大ブラックホールに活を入れる
■1月31日は皆既月食
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■衛星銀河の合体が超巨大ブラックホールに活を入れる
くじら座方向にあるM77 (メシエ77) は、地球からおよそ5000万光年の距離
にあり、天の川銀河から比較的近くに位置する渦巻銀河です。一見、何の変哲
もない渦巻銀河ですが、その中心に膨大なエネルギーを放出する活動銀河核を
持つセイファート銀河です。銀河の中心には超巨大ブラックホールが存在して
いて、その質量は実に太陽の1000万個分に及ぶと考えられています。
M77銀河の中心が活動銀河核であり続けるためには、この中心にあるブラッ
クホールに膨大な量のガスが供給され続けなければなりません。しかし、実際
には銀河中心の周りを回るガスは、そう簡単にブラックホールに落ちていくわ
けではありません。では、どうやってガスが供給されているのでしょう。
研究チームは、このM77銀河の近くにある、より小さな質量の衛星銀河に着
目しました。もしも、中心にブラックホールを持つ衛星銀河が親銀河に取り込
まれた場合、親銀河の中心核周囲のガスをかき乱して、そのガスが一気に親銀
河中心のブラックホールに落ち込むことで膨大な量のガスを供給し、銀河核の
活動を維持できるだろうと考えたのです。
研究チームは、すばる望遠鏡と超広視野主焦点カメラ (ハイパー・シュプ
リーム・カム、以下HSC) を用いて、M77銀河とその周囲を観測しました。そし
て解析の結果、銀河の明るい円盤の外側に、淡く広がった構造、つまり衛星銀
河が親銀河と合体した際に形成される特徴的な構造を発見しました。これまで
淡すぎて発見できなかった銀河の周りの構造を、すばる望遠鏡とHSCという超
高感度、かつ超高解像度の観測装置を生かして、捉えることができたのです。
その結果、M77銀河は数十億年も前に、近くにあった衛星銀河を飲み込んで、
自身の中心核にある超巨大ブラックホールに活を入れていたことが分かりまし
た。
この研究は、M77のようなセイファート銀河の中心核の活動の起源を解明す
る上で重要な成果です。
▽衛星銀河の合体が超巨大ブラックホールに活を入れる
https://www.subarutelescope.org/Pressrelease/2017/10/30/j_index.html
■1月31日は皆既月食
1月31日の夜、地球の影の中に月が完全に入り込む「皆既月食」が起こりま
す。今回の月食は条件がよく、日本全国で部分食の始まりから終わりまでを見
ることができます。
月食の経過は次のとおりです (日本全国で同じ時刻です)。
部分食の始め 20時48.1分
皆既食の始め 21時51.4分
食の最大 22時29.8分
皆既食の終わり 23時08.3分
部分食の終わり 0時11.5分 (翌2月1日)
多くの方が比較的観察しやすい時間帯に起こり、皆既食の時間も1時間以上
と長い皆既月食です。ぜひご覧ください。
次に、日本全国で部分食の始まりから終わりまでを見ることができる皆既月
食は、2022年11月8日に起こります。
月食の経過や月の見える方向など、今回の月食に関する詳しい情報は、国立
天文台ウェブサイトの特集ページをご覧ください。さらに、月食が起こる仕組
み、観察方法などの月食の基礎的な知識を得たい方は、基礎知識のページをご
利用ください。
国立天文台では、多くの皆さんにこの月食を観察していただこうと、観察
キャンペーン「皆既月食を観察しよう 2018」を月食当日の夜に実施いたしま
す。皆既食中の月の色を観察して、ウェブページからご報告ください。皆さん
のご参加をお待ちしています。
▽特集「皆既月食 (2018年1月31日)」
https://www.nao.ac.jp/astro/feature/lunar-eclipse20180131/
▽基礎知識「月食とは」
https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse.html
▽「皆既月食を観察しよう 2018」キャンペーン
https://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/201801-lunar-eclipse/
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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2018年1月19日