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     国立天文台 メールニュース No.166
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投稿者 スレッド
佐藤裕久
投稿日時: 2016-9-16 18:12
モデレータ
登録日: 2005-6-12
居住地: 日本
投稿: 2505
オンライン
国立天文台 メールニュース No.166

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    国立天文台 メールニュース No.166  (2016年9月16日発行)
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 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報
 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。
 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

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もくじ
■横顔が輝く宇宙灯台―謎の超高輝度X線パルサーの正体
■国立天文台講演会/第22回アルマ望遠鏡公開講演会
 「アルマ望遠鏡で探る星と惑星の誕生」
■第21回 自然科学研究機構シンポジウム
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■横顔が輝く宇宙灯台―謎の超高輝度X線パルサーの正体

 宇宙には超高輝度X線源と呼ばれる、通常のX線源の数百倍もの強さのX線を
放つ天体が多数見つかっています。その正体は、通常の100倍以上もの多量の
ガスを吸い込むブラックホールであるとする説が有力でした。ブラックホール
は、周囲にあるガスをいくらでも吸い込みいくらでも強いX線として放射する
ことができるからです。
 近年、このような極めて強いX線を放つ天体の中に周期的な明滅を示すもの
が発見されました。この天体のように周期的な明滅を示すものは「パルサー」
と呼ばれ、直径10キロメートルほどの高密度天体 (中性子星) と考えられてい
ます。ブラックホールは周期的な明滅を起こさないことから、超高輝度X線天
体の正体はブラックホールであるという定説を覆す発見になりました。
 従来の考え方では、中性子星からはこのような強いX線の放射は起こらない
とされていました。どのように中性子星が通常のパルサーより強いX線を放射
するのか。世界中の研究者がこの不思議な現象の解明に取り組み始めました。

 国立天文台ほかの研究者から成る研究グループは、この中性子星からの強い
X線放射のメカニズムを解明すべく、世界に先駆けて中性子星へ降り注ぐガス
のシミュレーションを行うことに成功しました。
 この謎を解くためには、放射流体シミュレーションというたいへん複雑な計
算が必要で、高度な計算技術と多くの計算を要しますが、研究グループがこれ
までに培った技術や計算コードをいかし、さらに国立天文台が運用するスー
パーコンピュータ「アテルイ」を用いることで、今回のシミュレーションが可
能になりました。その結果、研究グループは従来とは異なる新しいパルサーの
モデルを提唱することに成功しました。
 従来のパルサーのモデルは、中性子星の両極方向に出る放射のビームが天体
の自転によって明滅する「古典的宇宙灯台モデル」です。しかし、今回提唱し
たのは、中性子星へ降り注ぐガス柱の側面 (横顔) が明るく光り、天体の自転
によってその横顔の見える向きが変化し明滅が起こるという「新しい宇宙灯台
モデル」です。このモデルを用いたシミュレーションで、中性子星へ降り注ぐ
ガス柱の側面が明るく光る可能性が確かめられ、明滅を示す超高輝度X線天体の
中心天体の正体が中性子星であることが裏付けられました。
 超高輝度X線天体の正体がブラックホールではなく中性子星だとしたら、宇宙
の未解決問題の一つである巨大ブラックホールの形成シナリオに一石を投ずる
ことになるかもしれません。

 ▽横顔が輝く宇宙灯台:謎の超高輝度X線パルサーの正体をスパコンがあばく
  http://www.cfca.nao.ac.jp/pr/20160908


■国立天文台講演会/第22回アルマ望遠鏡公開講演会
 「アルマ望遠鏡で探る星と惑星の誕生」

 国立天文台は名古屋市科学館 (愛知県名古屋市) と共催で、アルマ望遠鏡の
研究成果を広く一般に紹介する講演会を、来る11月26日に開催いたします。
 南米・チリに設置されたアルマ望遠鏡は、日本を含む22の国と地域が協力し
て観測を続けています。超高感度・超高解像度という特徴を生かして宇宙から
の電波を捉え、さまざまな宇宙の謎の解明に挑んでいます。
 今回の講演会では、アルマ望遠鏡の重要な研究テーマの一つである星と惑星
の誕生の謎に迫ります。また、アルマ望遠鏡の建設の歴史や国際協力の現場に
ついても合わせてご紹介します。

開催概要
 テーマ:アルマ望遠鏡で探る星と惑星の誕生
 日時:2016年11月26日 (土) 13時30分から16時45分まで (開場13時)
 会場:名古屋市科学館 サイエンスホール
    (愛知県名古屋市中区栄2-17-1 白川公園内)
    http://www.ncsm.city.nagoya.jp/
 主催:自然科学研究機構 国立天文台
 共催:名古屋市科学館
 参加費:無料
 参加方法:
   ご参加には事前のお申し込みが必要です
    (定員:320名、お申し込み多数の場合は抽選となります)
   参加のお申し込みの〆切は10月31日 (月) 正午です
   インターネット、往復はがきのいずれかでお申し込みください
内容
 講演1:ハッブル宇宙望遠鏡を超えた!究極の電波望遠鏡「アルマ」の紹介
     立松健一 (自然科学研究機構 国立天文台 教授)
 講演2:世界の仲間達と作った世界に一つのアルマ望遠鏡
     立原研悟 (名古屋大学 准教授)
 講演3:惑星誕生の現場を探る ?アルマによる驚きの観測結果
     深川美里 (名古屋大学 准教授)

 講演内容の詳細と参加お申し込み方法はウェブサイトをご覧ください。
 多くの皆様のご参加をお待ちしています。

 ▽国立天文台講演会/第22回アルマ望遠鏡公開講演会
  「アルマ望遠鏡で探る星と惑星の誕生」
  http://www.nao.ac.jp/news/notice/2016/20160915-alma.html


■第21回 自然科学研究機構シンポジウム

 第21回 自然科学研究機構シンポジウムを、来る10月10日に東京工業大学
蔵前会館 (東京都目黒区) にて開催いたします。今回のテーマは「地球にやさ
しいエネルギーの未来」です。
 ご参加には事前のお申し込みが必要となります。プログラム、各講演タイト
ル、講師等は自然科学研究機構シンポジウムのウェブサイトをご覧ください。
 多くの皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要
 テーマ:地球にやさしいエネルギーの未来
 日時:2016年10月10日 (月・祝) 12時50分から16時 (開場 12時)
 会場:東京工業大学 蔵前会館 (東京都目黒区大岡山2-12-1)
    http://www.somuka.titech.ac.jp/ttf/
 主催:大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
 参加費:無料
 プログラム:自然科学研究機構シンポジウムのウェブサイトをご覧ください
 参加方法:
   事前の参加お申し込みが必要です (定員350名)
   ウェブサイトの申し込みフォームよりお申し込みください
 その他:Ustream、ニコニコ生放送でのライブ配信を予定しています

 ▽第21回 自然科学研究機構シンポジウム (自然科学研究機構)
  http://www.nins.jp/public_information/sympo21.php


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発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2016年9月16日
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