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2013年06月10日

星とギターを友として

 写真は猫の「トリトンちゃん」です。
 覚えていますか。2003年に初めて発見された短周期彗星に157P/Trittonという彗星がありました。このころ仙台市のMさんが迷い猫の面倒を見ているとき、いつの間にか飼い猫となって「トリトン」と名づけました。Mさんは天文ファンであったのです。名の基となった彗星は2009年に再び帰ってきましたが、その間猫の方も元気で、間もなく2周目の彗星を迎えようとしています。先年Mさんは東日本大震災に逢いましたが、幸い難を免れご本人も猫もゐたって元気です。Mさんはギターも上手で教室に通いながら、有名な練習曲集のすべてを終えるほどの腕となりました。星は仙台市青葉区の自宅で趣味で眺めています。いま北天に輝いているパンスターズ彗星も見たそうで、先年の新潟市での彗星会議に少ない女性の一人として参加されました。


猫のトリトン

 1962年ごろ、私は”ギターと星を愛する男”ということでマスコミに紹介されました。別に私の真似をしたわけではありませんが、星もギターも好き、という女性が全国で何人か登場しました。高知市のMさんも仙台のMさんと同い年で、私の教室に20年通われました。カルカッシのメソードから始まって、最後にはバッハのフーガやアルベニスの難曲に挑戦しました。いつか一緒に演奏した、アルベニスのスペイン組曲の中の『赤い塔』のアルペジヨ風な名旋律は今でも耳の底で唸っています。しかし悲しいかなMさんは50歳を待たずに病没されました。
 1984年、ハレー彗星が輝く頃、ニューカレドニアのアメデ島の渚で、私が拾って贈った貝殻を、彼女はいつまでも大事に持っていました。

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