VSOLJ ニュース (075)
近傍銀河NGC 2280に出現したSN 2001fz
著者 :山岡 均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp
今年も残すところ1か月あまりとなりましたが、この10か月半に発見が報告
された超新星は182個となりました。広報後に超新星でないと判明した2個を除
いても、このペースで行くと今年の発見数は200個を越えそうで、過去最多だっ
た204個(1999年)に迫る勢いです。
さて、今朝(日本時)発行のIAUC 7753で、超新星2001fzの発見が報じられま
した。今の季節見やすい、おおいぬ座の渦巻銀河NGC 2280に出現したものです。
北京天文台の超新星捜索チームが11月15.8日(世界時、以下同様)に17.4等級で
発見し、翌日には17.0等と明るく確認されました。11月8日撮影の画像には
18.0等より明るい天体は見られず、爆発後間もない、増光中の天体であること
がわかります。
超新星の位置は、赤経6時44分50.26秒、赤緯-27度37分12.7秒(2000.0分点)
で、母銀河の中心から北に66秒角、東に16秒角にあたります。この銀河は開い
た腕を持つScd型の渦巻銀河で、私たちからはやや傾いたように見えますが、
超新星は円盤部の外縁に重なっています。
この銀河は、冬の天の川の近くにあるため、数多くの前景の星が重なって見
えています。特に、母銀河から見て超新星と同じ側に、13等級の星があります。
超新星はこの13等星から24秒角ほど北西にありますから、間違えないよう注意
が必要です。
母銀河の距離の推定から、この超新星がもし典型的なIa型であれば、極大時
には14等級ほどになると期待されます。もしそうなれば、今年で3番目に明る
い超新星ということになります。いっぽう、II型であればそこまでは明るくな
いと予想されますが、それでも16等級程度にはなるでしょう。スペクトル観測
による型の決定が急がれるとともに、この新鮮な天体の今後の光度変化を追う
ことが非常に重要です。
2001年11月18日
[2001年11月18日 16時56分3秒]