記事タイトル:明け方の東の低空に見え始めたリニア彗星 

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お名前: 佐藤 裕久   
         国立天文台 アストロ・トピックス (5)

         明け方の東の低空に見え始めたリニア彗星

 この春に肉眼で見える可能性のある二大彗星のひとつ、リニア彗星 (C/2002 
T7 (LINEAR)) が、明け方の東の地平線に顔を出しはじめ、日本のアマチュア天
文家によって観測がされるようになりました。

 リニア彗星は、2002年10月にアメリカ・リンカーン研究所の "リニアプロジェ
クト (LINEAR=Lincoln-Laboratory Near Earth Asterid)" のチームが発見した
彗星です。発見された時の太陽からの距離が約10億キロメートルと遠方だった
ことから、かなり大型の彗星ではないか、と考えられました。また、4月23日に
は太陽に9千万キロメートルまで近づき、日本でも5月下旬には肉眼で見えるか
もしれないと期待されています(国立天文台・天文ニュース (598))。また、昨
年9月のすばる望遠鏡の観測によって、彗星の核の近傍で、氷の粒子が直接検出
されるなど、天文学的な成果も上がっています(国立天文台 アストロ・トピッ
クス(4))。

 リニア彗星は、日本からは4月末に日の出前の東の低空で一時的に見られる可
能性があります。地平線からの高さが高くなって見やすいという条件でいえば、
5月下旬の日没後の南西の夜空に現れるときの方がよいのですが、彗星本体の明
るさなどを考えると、4月末の方が明るいかもしれない、という予測もなされて
います。明け方の観測好機は4月21日頃から5月1日頃までとなりますが、なにし
ろ薄明開始時に高度が2〜3度という超低空になりますから、地平線まで何もな
い視界が開けた場所と天気、特に低空の透明度に恵まれないと難しいでしょう。

 こういった低空での彗星の観測を継続している埼玉県在住のアマチュア天文
家、門田健一(かどたけんいち)さんは、4月10日早朝、4時25分、待望のリニア
彗星の姿を18センチメートル反射望遠鏡に冷却CCDカメラをつけて、その姿を撮
するのに成功しました。透明度が悪く、雲の通過の合間をぬった観測でしたが、
リニア彗星は薄明中の高度約4度あまりの場所に約5等星の明るさで輝いていま
した。また、群馬県在住のアマチュア天文家・小島卓雄(こじまたくお)さんも
4月6日および10日、12日と撮影に成功しています。リニア彗星は4月23日の近日
点通過日には、67パーセントほどの確率で1.3等級から4.1等級の範囲に達する
と思われています。

参照:門田氏のリニア彗星画像
    http://www.astroarts.com/ageo/comet/2002T7/2002T7-20040409.jpg

   明るい彗星がやってくる 〜今年の春に期待される二つの肉眼彗星〜
    http://www.nao.ac.jp/pio/2comets/

   地球に接近するリニア彗星から氷粒を発見
    http://subarutelescope.org/Pressrelease/2004/04/04/j_index.html

    2004年4月13日             国立天文台・広報普及室

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訂正:「国立天文台・天文ニュース(706) 小惑星が地球にニアミス」で、「3月
   18日22時(世界時)過ぎに南大西洋上空で最接近し、地心距離としては4万
   3000キロメートルまで近づいたことが、」とありますが、正しくは「地
   表面からの距離としては4万3000キロメートルまで近づいたことが、」と
   なります。訂正させていただきます。
[2004年4月13日 22時26分48秒]

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