記事タイトル:カッシーニが土星の新しい衛星と環を発見 

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お名前: 佐藤 裕久   
         国立天文台 アストロ・トピックス (47)

         カッシーニが土星の新しい衛星と環を発見

 土星探査機「カッシーニ」が新しい衛星と環(リング)を発見しました。

 地球から望遠鏡で土星を見ると、本体に近いほうからC、B、Aの順に3つの環
を見ることができます。さらに、F環はA環のすぐ外側にある細い環で、地球上
から見ることはできません。このリングは1979年にパイオニア11号が発見し、
1980年にはボイジャー1号により、ねじれた構造が発見されました。さらに、こ
の環をはさむように外側に「パンドラ」、内側に「プロメテウス」という2つの
衛星も見つかりました。その後の研究から2つの衛星がF環が拡散しないように
影響を与えていることがわかり、「羊飼い衛星」として話題になりました。

 今回発見された新衛星「S/2004 S 3」はF環のねじれの外側にあります。土星
中心からの距離は14万1000キロメートルで、これは衛星「パンドラ」の軌道の
300キロメートル内にあたります。新衛星は2004年6月21日におこなわれたF環付
近の新衛星捜索で撮られた19枚の画像に写っていました。しかし、衛星なのか、
環の塊のようなところなのか、まだ疑問が残ります。

 この衛星の軌道をはっきりさせるため、他の画像を調査したところ、5時間後
におこなわれた、環の光学特性を調べる観測画像のうち4枚にも写っていること
がわかりました。しかし、位置がF環の内側にあるため、衛星が環を横切る軌道
を持つことになります。これは力学的に考えると不自然なため、本当に同一天
体なのかはっきりしません。そのため、この天体にも仮符号「S/2004 S 4」が
付けられました。

 仮にこれらが衛星だった場合、大きさは約4〜5キロメートル程度のようです。
「S/2004 S 4」のほうはかなり不確実ですので、はっきりと観測されている土
星の衛星数は、これで34個になりました。

 また、衛星「アトラス」と同じ軌道に拡散した物質で作られている新しい環
「R/2004 S 1」も発見されました。このリングは土星中心から13万8000キロメー
トルのところにあり、A環の端とF環の間にあります。新リングの幅は300キロメー
トルで、2004年7月1日の土星周回軌道投入後に見つかりました。しかし、この
リングが土星のまわりをぐるりと取り巻いているかはわかりません。

 新しい土星の環の発見は、1980年にボイジャー1号が発見したG環以来のこと
です。

 カッシーニは先月8月16日にも、2つ新しい衛星の発見を公表しています。2008
年6月末まで運用が続けられる予定ですので、これからもいろいろな発見をして
くれることでしょう。

参照:IAUC 8401 (Sep. 9 2004).
   土星探査機カッシーニ
      http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/main/index.html
   さじアストロパーク天文ニュース No.121 (2004年9月11日).
      http://www.vill.saji.tottori.jp/saji103/NEWS/news0121.htm

      2004年9月16日            国立天文台・広報普及室

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※この情報は鳥取県さじアストロパークの織部隆明(おりべたかあき)さんより、
 いただきました。
[2004年9月17日 22時56分14秒]

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