国立天文台・天文ニュース (599)
吉田さん、新星と思われる天体を発見
神奈川県横浜市の吉田誠一(よしだせいいち)さんが、岡山県岡山市の大倉信
雄(おおくらのぶお)さんによって、2001年9月19日に撮影された天体画像の中
から、当時12.7等で写っていた新星と思われる天体を発見しました。
吉田さんは、かねてからプロの天文学者やアマチュア天文家の撮影した多く
の天体画像を有効に活用するため、コンピュータ上で自動的に未知の変光星や
新天体を探索する MISAO (Multitudinous Image-based Sky-survey and
Accumulative Observations)プロジェクトを長年に渡って遂行してきました。
このプロジェクトでは、様々な方々から提供してもらった画像をプログラムに
かけて、これまでに1000個を越える新しい変光星候補を発見しています。
今回発見された新星らしき天体は、MISAOプロジェクトに提供された大倉信雄
さん撮影の画像の解析中に、新しい変光星候補として発見されました。吉田さ
んは、この天体を含めて、いくつかの変光星候補を、2002年10月13日に埼玉県
上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんの確認を依頼し、また京都大学の加
藤太一(かとうたいち)さんとイギリスのグリーブス(Greaves, J.)さんにも、
カタログ調査を依頼しました。その後、これらの方々の調査を経て、この天体
は通常の変光星でないことがわかってきました。そして最終的に福島県滝根町
・星の村天文台の65センチメートル反射望遠鏡を用いて、村松利一(むらまつ
としかず)さんによって、20等にも減光している天体の存在が確認されました。
12.7等から急激に減光していることから、新星の可能性が高いとして、国際天
文学連合によって公表されたものです。
吉田さんによる新星の位置は、
赤経 22h58m09s.12
赤緯 +66°21'12".4 (2000.0)
ケフェウス座の中になります。
参照 IAUC 8014(Nov. 10, 2002).
MISAOプロジェクト・アナウンスメイル (2002年11月9日)は、
上記URLを参照
[2002年11月12日 18時36分13秒]