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芸西天文台通信<2006年4月23日号>


分裂を始めた73P/Schwassmann-Wachmann 3のB核

 4月23日は日中は雲が多かったものの、夕刻から晴れ始め、早速天文台に行きました。3時間ほどでしたがシュワスマン・ワハマン3彗星を中心に観測しました。

 一番明るいC核は7x50の双眼鏡で辛うじて見える8等星で、肉眼星になることが危なくなってきた感がありますがいかがでしょうか。しかし尾はかなり発展してきたように思います。

 そしてもう一つのB核ですが、非常に拡散を始め、核が2つ、またはそれ以上に分裂を始めました。先の21日の芸西の写真をご覧ください。核は進行方向に細長く伸びています。しかしまだ分裂した様子はありません。
23日のクローズアップ写真では、明らかに分裂しています。この2日間に割れたことは事実のようです。この2つの核について測定しました。
この第1核が従来のB核そのものでしょうか?
73P-B/Schwassmann-Wachmann 3
(先頭の核)
2006UT        RA (2000.0)   Decl.         m2
Apr.23.59792  15 19 33.60  +29 58 56.6   13.8    372
    23.60034  15 19 34.17  +29 59 02.0           372

(第2の核)
Apr.23.59792  15 19 33.02  +29 58 46.8   14.2    372 
    23.60034  15 19 33.48  +29 58 52.9           372

 無論恒星状ですから測定の精度はそれほど悪くありません。先頭は実にくっきりと鋭く輝いています。これが従来のB核そのものなのか。核光度は暗いですが、全体の光度は8.9等星です。霧のごとく拡がっています。

 夜半過ぎにはまたしても黄砂か?全天が霧のごとく曇り彗星は「夜霧に消えたチャコ」ならぬ彗星となりました!?


73P-B/Schwassmann-Wachmann 3
2006年4月23日 23時20分(J.S.T)から2分間露出
60cm F3.5 反射望遠鏡 TMY400フィルム


Copyright (C) 2006 Tsutomu Seki.