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芸西天文台通信<2005年6月2日号>


C/2004 Q2 (Machholz), 72P/Denning-Fujikawa, 9P/Tempel 1, C/2005 K1 (Skiff), P/2005 JQ5 (Catalina)

 マックホルツ彗星その他の観測です。
 マックホルツ彗星は今北斗七星の中にあって、緩やかに動いています。20cmの屈折60倍で見ると5′以上の大きい光芒に見えますが、60cmの反射による写真では鋭い中心核のみが写ります。総体に測定の精度は良いでしょう。昔は位置測定の誤差を+/-1″に収めるのが大変でしたが、今は恒星のカタログが良くなったので1″以内に収まるのが常識です。30年以上昔、彗星の観測をやっていた人には信じられないでしょう。
 この他、リニア等による暗い彗星が見つかっていますが20等くらいまでは観測可能です。しかしC/2005 K2の様に暗くて固有運動の早いのは銀塩による写真では大変で、これこそCCDの世界です。

 今、明け方の空で太陽に近く「デニング・藤川彗星」が近日点を狙っています。当の藤川さんが密かに再発見を期待されていると思いますが残念、条件が大変悪いです。次の「コメットビュレテイン」に私なりの光度予報を発表しましたが、この星は”爆発”増光しない限り発見は難しいようです。1881年のデニングの発見以来優に100年を越していますが、その後、増光して発見されたのはたった1回です。滅多に増光しないでしょうが1978年10月、藤川さんがこの星と遭遇したのは正に奇跡でした。次の1987年には好条件の下、芸西では60cmを駆使して相当綿密に探しましたが結局見つかりませんでした。この種の彗星は非重力効果が大きいかも知れませんので、歳月と共に益々発見が困難になるかもしれません。1978年10月9日、藤川さんの発見の報を受けて見た時、10.5等級の彗星は核が無く朦朧として大変拡散したイメージでした。私が非重力効果が大きいかもしれないと言ったのは別に根拠はなく、異様に拡散した像から「ペライン・ムルコス彗星」のイメージを思い出したからです。この星も時々増光してまれに発見されるのですが、非重力効果の大きい彗星です。

 この他、7月4日にインパクターが突入することで話題の「テンペル1彗星」は今夕方の天頂やや南の空に10〜11等で見えています。世界的に多くの位置観測が行われていますが、余り明るくなりません。この星も長いこと行方不明となり1967年、当時フラグスタフにいたE.ローマー女史に90年振りに再発見された時には驚きました。5.5年の周期で、その後安定した出現を見せています。この彗星はいま10.5等位で、北に短い尾を見せています。15cmの反射で楽に観測出来るでしょう。私は3月頃から20cmで見ています。
    CK04Q020   2005 04 13.57986 11 46 59.50 +70 34 37.4           9.0 T      372
    CK04Q020   2005 04 14.56910 11 48 43.30 +70 02 53.7           9.2 T      372
    CK04Q020   2005 04 18.67257 11 55 16.47 +67 50 46.3           9.3 T      372
    CK04Q020   2005 04 28.47465 12 08 19.35 +62 34 43.1           9.5 T      372
    CK04Q020   2005 04 29.60972 12 09 39.86 +61 58 15.0           9.2 T      372
    CK04Q020   2005 05 02.58438 12 13 07.44 +60 23 02.8           9.3 T      372
    CK04Q020   2005 05 03.73142 12 14 25.07 +59 46 25.0           9.6 T      372
    CK04Q020   2005 05 16.60642 12 28 17.38 +53 03 39.6           9.8 T      372
    CK04Q020   2005 05 25.47431 12 37 29.14 +48 37 54.0           9.7 T      372
    CK04Q020   2005 05 31.66944 12 43 50.76 +45 39 16.2          10.2 T      372

    CK05K010   2005 05 30.63924 17 32 42.90 +64 40 39.1          17.2 T      372
    CK05K010   2005 05 31.62292 17 31 08.60 +64 35 56.6          17.1 T      372
    CK05K010   2005 05 31.64582 17 31 06.18 +64 35 50.0                      372

    PK05J05Q   2005 05 30.58715 14 17 12.83 +03 35 01.3          15.8 T      372
    PK05J05Q   2005 05 31.60104 14 13 15.71 +03 56 50.9          15.7 T      372
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