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芸西天文台通信<2004年5月5日号>


● C/2001 Q4(NEAT)の写真
 連休最後の日、芸西への道路は混雑もなく、約50分で到着しました。
 あいにく、晴れたものの大気は春独特の白っぽく濁って町明かりを強く反映していました。
 まだ薄明の終わり切らぬ19時15分頃、ニート彗星が20cmの視野に白く光り始めました。暗くなると今度は東に月が出て、薄明と月光との僅かな夜の谷間に見ましたが、約4等星でコマは10'、尾はほとんど見えませんでした。
 正直に言って「大したことはない」という印象。ヘールボップ彗星と比べてもスケールが違うようです。しかしこれから上空に昇って暗夜に見れば尾も美しいかもしれません。1957年のムルコス彗星(C/1957 P1)程度かと思いました。ムルコス彗星は同年のアラン・ロラン彗星と共に肉眼で見えました。1973年のコホーテク彗星は評判倒れに終わりましたが、これにもはるかに及ばない気がします。この程度の彗星なら1950年来、実にたくさん見てきたのですが。
 続いて5月6日ですが、位置が5度高くなつて、5日より良く見えました。しかし全光度は3.6等で尾は全く見られません。これから北上とともに国内で肉眼で見えるかどうかといったところでしょう。むしろ5月の下旬に再来するC/2002 T7(LINIAR)のほうが、より期待できるかも知れません。
 ほうき星の長期予報というものはなかなか難しいものですね。

[ニート彗星の写真]
C/2001 Q4(NEAT)
2004年5月6日 20時24分から2分間露出
60cm F3.5 反射望遠鏡
TM400フィルム




Copyright (C) 2004 Tsutomu Seki. (関勉)